「レンアイ漫画家」9話11年の連載で初めて原稿を落とすまりあ様
清一郎は自分が恋愛をできないと思っていた。だから漫画の世界で「恋愛」を描いたきた。
しかし初めての原稿を見たときに、すでにあいこをモデルにして、恋愛漫画を描いていたことに気がついた。
知らないうちに、漫画の中にあいこを描いていた清一郎。その恋愛が現実となり、毎日がワクワクしていた。
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あいことの約束
清一郎はあいこの思いに応えようと思い、自分なりに頑張っていた。だからいつもネームを書くことよりも、あいこ優先させていた。
結果的に11年間の連載で初めて原稿を落としてしまった。漫画家にとっては致命的なことだった。
予想通りネット上では、「刈部まりあ」が男性だということがバレた後だったので、「連載をやめろ」などと言う書き込みが殺到していた。
しかし清一郎は漫画を書こうと一生懸命だった。描こうとするほどに、描けなくなる。それは今まで漫画の中で恋愛をしてきたからだ。
現実の世界で恋愛を始めたから、漫画の世界で恋愛を描けなくなっていたのだ。向後は次は絶対にネームを落とさないように編集長に誓った。
しかしそれでも描けないものは描けない。
お祝いに来た可憐
授賞式での様子を見て、2人が恋人同士になったと気がついた可憐が花束を持ってお祝いに来た。
それはとても喜ばしいことだと思ったからだ。しかし、その後に初めてまりあ様がネームを落としたことで、一大事だと言うことに気がついた。
しかし可憐はどうすることもできない。あいこのパトロールを止めた早瀬は、今度は頻繁に可憐の家に来ていた。
可憐にとっては都合の良い雑用係となっていた。特に犬の散歩については、早瀬が連れて行くことも多くなっていた。
それに麻央も付き合ったが、犬の動きに振り回される早瀬を見ながら、レンと話をしていた。レンには「ネームを落とす」と言う意味がわからなかった。
そこで麻央は、可憐さんがネームを落としたときには、人生が終わりそうな位の勢いですごかったと過去の話をした。
レンにはあまりピンとこなかったが、なんだかおじさんが大変なことになっていると言う事はわかった。
責任を感じた由奈
もともと「銀河天使」の作者の正体をバラしたのは、カフェで働く由奈だった。二階堂があいこを好きになったことから、
やきもちと、ちょっとしたいたずらごころから拡散してしまったが、今回連載休止が発表されたことから、自分が拡散したことがきっかけではないかと反省していた。
既にカフェを辞めており、コンビニで働いていた。だから向後たちがお店に来ても由奈は会う事はなかった。
だから今回連載が休止されたのは、清一郎が本当に恋愛をしたから。虚構の世界で生きてきた男性が、いきなり現実の世界を謳歌し始めたため
ネームを落としてしまうという大失態を犯した。それに関しては、作者が男だと言うことが世間に言われた事は全く関係なかった。
描きたくても描けない
清一郎は本当はすごく描きたい。でも描こうとすると全くアイデアが浮かばない。漫画を書くことが生きがいなのに、描くことができない。
苛立ちが募る一方。どうしたらいいかもわからない。それでもあいこのことを好きになったのは後悔していない。
あいこに初めて自分が持ち込んだ原稿読ませた。そこに書かれたセリフ「5回も告白した」とあった。
ちょうどあいこが純と付き合い始めた時に、この漫画を描き始めていたのだ。そして純のエピソードを聞いて、漫画を描いたので、銀河天使の始まりはあいこだったんだ。
そして純の葬儀の時に、あいこがレンに話しかけているのを聞いて、清一郎は確信した。あいこにレンアイをさせれば銀河天使は面白くなる。
予想通り銀河天使はいつもトップを走り続けていた。しかし恋愛を実際に始めた清一郎は、可憐に追い抜かれそうな勢いで、人気が落ち始めた。
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あいこの決心
清一郎を「虚構の世界」から引っ張り出したのはあいこ本人だった。そしてネームを落としてから、清一郎は部屋から出てこなくなった。
次こそは落とさないように、ネームに取り掛かるのだが、思うように筆が進まず全てゴミになってしまう。そんなことを繰り返していた。
実は既に大筋のストーリーは決まっていたのだ。しかしそれを漫画にすることができないのだ。
ある日あいこが心配してスープを持っていくと、中から大きな物音がして、慌てて清一郎の部屋に入った。
眠ることも食べることもせず、描けないネームをひたすら描き続けては、捨てていた。ついには過労で倒れてしまった。
それはネームの締め切り1日前の事だった。清一郎は救急車で病院に運ばれ、そのままずっと眠り続けた。
そしてあいこはある決心をして、清一郎の着替えを持って病室へ行った。
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帰宅した清一郎
早朝に帰宅した清一郎。しかし、迎えたのはレンだけ。しかも今にも泣きそうな顔をしている。何か起きたと感じた清一郎は
家中あいこを探して回った。どこにもいない代わりに、愛子の部屋の机の上に清一郎宛の手紙が残されていた。
そこには今までの感謝と、この家を黙って出て行くことを伝える文面が書かれていた。あいこは「部屋が見つかったから」とレンに嘘をついて
清一郎が帰ってくる前に家を出て行った。しかしいくあてなどなかった。荷物を抱えて疲れてベンチに座ったまま泣いた。
自分で決めたことなのに、どうしても涙が溢れてきて止まらない。しかも今日は自分の誕生日。清一郎がお祝いしてくれると言っていた日。
そして、レンが最後にくれた絵を見てまた泣いてしまった。そこには清一郎とあいことレンとうさぎのピアノが描かれていた。
レンの中ではこの4人で「家族」だったんだ。しかし立ち止まることはできない。また重い荷物を持って歩き出すあいこ。
そして、清一郎は何かに取り憑かれたように漫画を描き始めた。アイデアが浮かんだのだろうか?
それとも漫画を通してあいこにメッセージを伝えることを思いついたんだろうか。とにかく清一郎は描き続けた。
「銀河天使」は次ネームを落としたら休止となってしまう。清一郎はタイムリミットまでに仕上げることができるだろうか。
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