「生きるとか、死ぬとか、親父とか」最終回、新しく家族が始まる。

ジェーン・ス―さんの半生をエッセイにまとめた「生きるとか、死ぬとか、親父とか」

 

最初は、父親のアパートの家賃くらいの気持ちで書き始めたエッセイでしたが、そのうちにトキコが心の中にしまい込んでいた

 

もう見たくない、知りたくない真実がどんどん明るみに出てきました。

 

コンテンツ

トキコがずっと目を背けてきたこと


生きるとか死ぬとか父親とか (新潮文庫) [ ジェーン・スー ]

ジェーン・ス―さんは、実在するエッセイストです。しかもれっきとした日本人。(プロフィールは後程・・・)

 

父は個人で【宝石商】を営んでおり、人のふところに入り込むのがうまいので、個人など相手しない、老舗百貨店でも取り扱いがあるほど

 

父には商売の才能がありましたが、知らないうちに「保証人」となっており、借金を肩代わりしたり、知らないうちに自宅が抵当に入っており

 

「住んでいるのに」すでにそこは【賃貸住宅】として、借りていたり・・・。娘や妻からすれば、自由気ままに生きる父だったと思います。

 

そんな父の人生で、トキコが目を背けてきたのは、見え隠れしている「女性」の存在。母もそれに気づきながらも、知らないふりをしていた。

 

そして、いつも笑顔を絶やさなかった。しかし、その裏で母は悲しみに暮れ、寂しさを高額な洋服を買うことで紛らわせていた。

 

父のことだけを書こうと思ったが、そうなるとどうしても陰で今もちらつく「女性」について、触れなくてはいけない。

 

そうなると、どうしても【母の孤独】にも目を向けなくてはいけなかった。一人娘として、2人の間に生まれたからには、

 

すでに母はいなくとも、【家族】としてこれからも人生はつづいていく。だからこそ、父にも本当のことを知って欲しかった。

 

だから、トキコは自分の胸にしまい込み、「忘れてしまおう」とおもい切って【母の寂しさ】のふたを開けた。そして、それを形として父に見せた。

 

「100万円のミンクのコート」父はその時、初めて妻の孤独を知ったのだろう。トキコの目から見てもわかるように、父の頬を涙がつたった。

 

一緒に食べていたケーキが少ししょっぱいのに「これ、美味しいな」という父は寂しそうだった。今更20年以上前の母の寂しさを埋めることはできない。

 

完成したエッセイ

 

父は読まないだろうという確信がトキコにはあった。でも、父のことを書いたエッセイは1冊の本になり、発売され様々な反響を呼んだ。

 

いつもはエッセイを執筆する傍ら、週に1度ラジオで「お悩み相談」をメインにDJをしているトキコ。

 

その頃、トキコに来た質問は「人の質問に答えるのは、怖くないですか?自分の一言で、その人の人生がかわったりしたり・・・」

 

という内容の質問が来た。トキコは「確かに怖い」けど、「顔を知らない同士」だからこそ、気兼ねなくできる相談もあり

 

【相談】を口にするだけでも、心が軽くなる。それならどんどん相談を受け付ける。というような回答をした。

 

そして、番組が終わると、エッセイを読んだラジオ局のプロデューサーから、仕事の打診があった。

 

それは今まの夜、週1回のお悩み相談を、昼間の時間帯に移し、平日すべてを担当してほしい。というものだった。

 

トキコは今まで「週1」であるから、お悩み相談をすることができた。それが毎日となるとどうしたらいいのか・・・。

 

もちろん、リスナーの年齢層も変わってくる。自分がそれに対応できるのかどうか、即答はできなかった。

 

父との買い物

 

父と娘は住まいは別々でも、墓参りや、買い物などちょくちょくあっていた。この日も「買い物」の約束をしていたが

 

待ち合せに行くと父が【包丁】を突き出してきた。そしてそのまま振り回して説明をするので、トキコは包丁をしまわせた。

 

とりあえず、買い物に持ち歩くには【包丁】は危険なので、先に【包丁を研ぐ】用事から済ますことにした。

 

店に向かう途中、「タワーマンション」のチラシをもらった2人。老舗が並んでいた街もどんどん変わっていく寂しさを覚えていた。

 

刃物屋に着くと、包丁を研いでもらうようにお願いしたが、とても珍しいものだったらしい。ふつうは「5寸」を使うが

 

持ち込んだのは「6寸」一般家庭ではめったにない。という話しから、父は気をよくして「亡くなった妻の形見です」というと

 

転院が申し訳なさそうにしたので、トキコがすかさず「20年以上前です」と付け加えた。取りに来ることもできるが、送ってくれるという。

 

父に住所を聞くと、元々トキコにあげるものだったらしい。そのため、トキコは自分の住所を書いた。それから馴染みのとんかつ屋へ行った。

 

すると、やはり父なのか「悩みでもあるのか?」と図星をつかれてしまった。それで昼帯のラジオの仕事の話しをすると、「いい話しじゃないか」

 

と、先ほどの刃物屋の主人が街が変わって、人も増えると、利用してくれるお客もできるから、続けてこれた。これこそがうつろいゆく時代の中で生き残って来た老舗の根性。

 

トキコもそれを見習って、恐れることなく挑戦すればいい。と背中を押してくれた。そして封筒を渡してくれた。

 

トキコに「父からの封筒」には悪い思い出しかない。しかし、中を開けると「申し送り」として、母の好きだったお店

 

が、列挙されていた。まるで遺書のようだと笑うトキコだが、一人で回れないと言うと、父は「だからこれから少しずつ、お店を一緒に回って行こう

 

と、提案してきた。今まで母を介して父を見てきたトキコ。エッセイで家族を見つめなおしたことで、やっと母の姿をなしに、父を見られるようになった気がする。

 

20年経って母離れした父と娘。これからは母の思い出のお店をめぐりながら、あーでもない、こーでもないと会話を交わしていくことだろう。

 

Twitterでは・・・

 

ジェーン・ス―さんのツイートが2件入りましたが、客観的に「本」ではなく、【ドラマ】になるとまた見方も変わって来るから

 

ドラマの中の「トキコ」がなおさら愛おしく感じたのでしょうね。

 


 

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