「生きるとか、死ぬとか、親父とか」トキコが書きたくても書けなかった母の事

最初は父の家賃をエッセイの【印税】で賄う。という軽いのりで、「あんたのこと書くよ」と言ったトキコだったが

 

書いていくうちに、【母の事】を何も知らないことに気付いたトキコ。無性に母のことを書きたくなった。

 

でも、書くことができなくなってしまった。それは胸の中にしまい込み忘れてしまった過去に原因があった。

 

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書きたくても書けない母のこと

トキコは自ら編集者に「母のことを書きます」と宣言した。それは、父と母の同時入院で

 

身を引き裂かれる思いで、父の愛人に父の看護をお願いした話しを書いた。

 

しかし、母の話しは他にもあったはず。でも、書けなくなってしまった。どうして書けなくなってしまったのだろうか・・・。

 

母と言えば、いつでも頼れる存在で、笑顔を絶やさなかった。それなのにそんな母のことが書けない。

 

そこで、トキコはまず辛かった「自宅との別れ」を書くことにした。それは母が亡くなりまもなく発覚した。

 

【督促状】が届いたことで、父は「この家はすでに売っており、賃貸として借りている」というのだ。

 

きっと母も知らない事実で、トキコもその時初めて知った。いくら買い手が優しい方で、賃貸で住んでもいいですよ。

 

と、言っても【家賃】をどうやりくりしても限界が来てしまった。働きだしたトキコの貯金を切り崩しても

 

もうどうにもならなくなり、家を手放した。そしてその後その家は信用金庫として今も残っている。

 

父の裏切り行為

父はそんな状態になっても、「こんな家なんていつ手放してもいいんだよ」とまるで他人事

 

すでに他人の家になっていることすら、督促状が届くまで知らなかった。きっと督促状をトキコが見つけなければ

 

そのまま「知らない」話しで済んでしまったのかもしれない。そして陰で父は何とかしたかもしれない。

 

しかし、「家を売る」この重大な決断を、一人で勝手にして、一人で勝手に賃貸にしてしまった

 

母との思い出が詰まったこの家なのに、まるで他人事でトキコは裏切られた気持ちでいっぱいだった。

 

しかも、立ち退きが迫っているのに、父は何もせずただぼーっと一日を過ごしている。新しい家を見つける気配もない。

 

今考えれば、妻を亡くし心が空っぽになってしまったんだと理解できるが、その時のトキコにはそんな余裕などなかった。

 

父の勝手だと思っていた。そして友人に手伝ってもらい、立ち退きの準備を始めたトキコ。

 

押入れから出てきた母の衣装ケース

友人が押入れの整理を始めた時、母の衣装ケースが出てきたあまりの重さで2人で引っ張り出したほどだった。

 

しかし、中身は服なのだが、全て正札が付いており、一度も着た形跡のないものだった。

 

しかも一番したに、丁寧に紙に包まれたのは100万円のミンクのコート。

 

友人は「寂しかったんだね」とつぶやいた。トキコはその時何も言えなかった。

 

父に愛人がいてもみないふりをして、気丈に振る舞う裏で、父のお金を使い高価な服を買うことで

 

母は寂しさを埋めていた。その事実を初めて知った。この衣装ケースには母の寂しさが詰まっていたのだ。

 

それをふと思い出したトキコ。自宅にそのまま保管してあった。後日サバランケーキを持って父の元を訪れた

 

そして、食べる前にミンクのコートをテーブルに乗せた。「買ったのか?100万もするぞ!」という父に真実を告げるトキコ

 

父は、泣きながらケーキを食べた。うまいな。とごまかしながらも、自信が妻を悲しませてしまった事実はもうどうすることもできない。

 

母はこうして、寂しさを形にすることで、心の穴を埋めていた。それを忘れてしまっていたトキコ。

 

だから、母のことを書こうとしても、肝心な母の【孤独】な部分抜け落ちており、書くことができなかった。

 

使った金額で母の寂しさや孤独は計れない。でも、衣装ケースに目いっぱい入った新品の服は母の気持ちを代弁していた。

 

Twitterでの感想

たしかに、これが「リアル」なだけに、かなり身に詰まる思いがするし、トキコの当時の葛藤や、苦しみがわかる

 

そして、今になり父は20年も前の真実を知ることになり、涙する。自分の行いがどれだけ妻を苦しめたのか

 

自分はうまく愛人を隠していたつもりだったのかもしれない。でも母は【孤独】という穴を埋めることに必死だった。

 

その間を取り持つトキコもまた大変だったと思う。


 

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