「永遠の昨日」最終回、最期を悟る浩一、そして過去の思い、見つかった浩一
浩一は自分が「死体」として、生きていけるのはもう残り少ないと感じていた。
そして、満はそんな浩一を自分自身に焼き付けておきたかった。2人でベッドに腰かけて話していた。
そんな日でも雨が降っていた。いつも浩一といる時はなぜか雨が降る。きっと二人とも「雨男」なのだろう。
コンテンツ
最期を悟る浩一
浩一はもう自分は長く動けないことを知っていた。だからこそ、満はそんな浩一を自分だけはしっかり覚えていたかった。
家に誘い、ベッドを共にすることを提案した。それに浩一は逆らわなかった。しかし、2人とも初めてのこと。
たわいもない話しをしながらも、浩一が「暑い」と言って服を脱ぎだした。それが合図のように満も服を脱ぎだした。
お互い初めてだが、お互いがお互いの「1番である」ということをしっかりと確認した。
そして、翌朝帰宅した父は、「浩一君は帰ったのか?」と聞いてきたが、父はすでに気づいていた。
浩一が「死体」であることに。それは満の母がそうだったからだ。満の中には冷たい母の印象しかなかった。
しかし、それは母が死期を悟り、わざと自分から離れていくように満に冷たく接していた。
しかし、それは間違いだったと母は後悔していた。と初めて聞いた。そのあと母は動く死体として、しばらく家にいた。
父はそれを怖いとも思わなかった。昔満がみた母の「幽霊」はその時の姿だったのだ。優しく微笑む母の姿。
浩一の過去の思い
浩一は1年の部活終わりに、雨に濡れながら校舎に入ろうとしたときに、傘がなくて立ちすくんでいる満を見つけた。
そして、初めて目が合ったが、その目はとても鋭く怖かったが、それを忘れることができなかった。
なぜなら、その時浩一は満に「初恋」をしてしまったからだった。それから、「友達になってほしい」と告げて、
「一緒にお昼を食べる」仲になり、一緒に登下校をする仲になり、少しずつ距離を縮めていった。
しかし、やっと縮んだ距離も『事故』という現実に、終わりを告げようとしていた。しかし、浩一の家庭は複雑だった。
父が早くに亡くなり、母は育児を放棄した。しかし、幸いだったのは母の兄が、自分を養子に迎えてくれたこと。
だから、幼い兄弟がいたのだ。そして、先日生まれた新しい命を「最初に抱かせてくれた」のは、そんな浩一への気遣いだった。
やっと見つかった浩一
浩一と初めて一夜を共にした翌日、朝早く浩一は帰っていった。しかし、それは浩一の最期を示していた。
事故を起こしてずっと見つからなかった「被害者:浩一」はあの時のまま、草むらで遺体となって発見された。
満と寿美子以外の同級生の記憶には、浩一は事故でなくなり、遺体がなかなか発見されなかったとして、記憶に残った。
それから5年、満は医大に進み、医大生としての生活を送っていたが、片時も浩一のことを忘れたことはなかった。
それは、今までもこれからも、満の中で「一番」は浩一しかいないのだから。
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