「祈りのカルテ」最終回、広瀬の最期と過去の冤罪、そして同期の友情

諏訪野が広瀬のアパートに行ったことにより、ステージ4のガンだということがわかった。しかし、彼は入院を拒んでいた。

 

2度目に倒れた時、冴木にさとされ、密かに入院していた。というのも、彼は実の息子である良太に、

 

自分の惨めな姿を見せたくなかった。父親だと知れることが嫌だったのだ。しかし、彼は「緩和ケア病棟」に入院していた。

 

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広瀬の最期、諏訪野最後の研修

諏訪野の最後の研修先は「緩和ケア病棟」だった。もう治る見込みのない患者が、最期を過ごす場所だった。

 

そして、担当する患者となったのが広瀬だった。諏訪野は広瀬が2度目に病院に運ばれてきてから、どうなったか知らなかった。

 

おそらく父の冴木たちの計らいにより、息子を担当医にしたのかもしれない。広瀬は「思い残す事は無い」と言って

 

自らの家族や、今までの事などを話そうとはしなかった。そしてやりたいこともないと言う。それでも何かしたかった。

 

以前に一緒に食べに行った中華屋さん。そこには行けないけれども、食べ物を見たら食欲がわくかもしれない。そう思い、食堂に連れて行った。

 

そして、諏訪野は「ここはカツ丼がお勧めです」と言うと、食べているところが見たい。と言うので諏訪野は自分が食べているところを見せた。

 

なるべくおいしそうに食べるように心がけた。しかしそれで広瀬は満足してしまった。しかしそれ以外のメニューも今後食べてほしいとリクエストされた。

 

そんな広瀬に何かをしたいと思う諏訪野のもとに、「櫻井」と名乗る刑事がやってきた。25年前の事件について「冤罪」の可能性がある。

 

自分はあとわずかで退職のため、その前にこの事件の本当のことを暴いて、スッキリして退職したい。と願い出ていた。

 

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広瀬の過去の冤罪事件

それは25年前に起きた事件だった。研修医を止めて家族の為、警備会社で働いていた頃、警備を勤めていた会社から1億円が盗まれた。

 

防犯カメラには、ボストンバックを背負って会社を出て行く広瀬の姿が映っていた。そして決め手となったのは、その中から500万円が出てきたこと。

 

そして、彼は、強盗及び警察官への暴行容疑として逮捕された。しかしその事件が冤罪だったかもしれないと言うのだ。

 

しかし、当時を知る広瀬の同僚である男性は、昨年交通事故で亡くなっており、当時のことを知るものはほとんどいなくなっていた。

 

しかし広瀬はかたくなに櫻井に会って話そうとはしなかった。しかし、広瀬は突然発作を起こして、危険な状態となった。

 

緩和ケア病棟では、その痛みを和らげるために「モルヒネ」を使用することが一般的だった。しかし諏訪野は手足のむくみから「利尿剤」を使用した。

 

しばらくすると、利尿剤が効き広瀬の状態が落ち着いた。そしてしばらくすると目を覚ましたそばにいた諏訪野が近づくと、

 

「走馬灯が見えた。そして1つだけ俺はやってない」とつぶやいたあの事件は本当に冤罪だったのだ。しかしそれを証明する人物がいるのかどうか?

 

もう1人当時を知る先輩がいたと言うが、自分と同じガンで既になくなっていた。しかしなぜ広瀬は警察に暴行を加えたのか?

 

彼の目からは、広瀬は決して暴力を振るような人には見えなかった。そして嘘をつくような人に見えない。何が彼をそうさせたのだろうか。

 

 

同期の友情

広瀬の病室に同期の意思である父の冴木と、精神科医の立石が集まっていた。当時同じ寮に住んでいた3人は

 

酒屋さんから空になった酒瓶を持ってきて、水を入れたら酒を飲んだ気分でようことができるかもしれない。といって、

 

試しにやってみたら、広瀬はたった2杯飲んだだけで酔っ払ってしまった。そんな思い出話をして、当時を懐かしんでいた。

 

そして翌日、その話を諏訪野に話し、自分の同期を見せてほしいと頼み、諏訪野の同期を見て回った。

 

諏訪野は櫻井から事件のあらましを聞き、自分が広瀬の息子であると聞いた時から、どう接したらいいのかわからなかった。

 

しかし、彼はあることに気がついた。実家から持ってきた電車のおもちゃ。物心ついた頃から壊れていた。

 

そして父親が逮捕された日、4月22日は彼の誕生日だった。櫻井の話では、ボストンバックから誕生日プレゼントらしい包みが出てきたと言う。

 

広瀬はそのプレゼントを守ろうとして、警察官に暴力を振ったのではないだろうか。そして彼の先輩が同じガンでなくなっていることから、

 

ある仮説を立てた。広瀬のガンは「アスベスト」が元になっていることが多い。だとすると、被害にあった事務所の天井に見つかっていないお金があるかもしれない。

 

なぜなら、広瀬よりも前から勤務していた先輩は、アスベスト対策のために天井が2重になっていることを知っていた。

 

だから、盗んだ1億円を二重天井の上に隠し、アスベストを吸い込んだ。そして広瀬に罪を着せるために500マン円ボストンバックに入れた。

 

諏訪野が予想した通り、櫻井は行動してくれて、上から、見つからなかったお金が見つかった。これで広瀬の冤罪が確定した。

 

諏訪野は広瀬の元に行き、冤罪が確定したことを伝えた。それを教えてくれたのは「このおもちゃだった」と言って、壊れた木の電車を出した。

 

物心ついていた頃から壊れていた電車のおもちゃ。広瀬はそれを守ろうとして暴力を振った。壊れていたのは父が息子を守ろうとしたと言う証拠だった。

 

初めて諏訪野は、広瀬に「お父さん」と呼ぶことができた。そして広瀬は最期に息子として一緒に過ごすことができた。

 

諏訪野と冴木は、純正医科大学附属病院に残った。後の同期はそれぞれの道を進んだ。そして諏訪野は広瀬が予想した通り「循環器内科」の医師として働き始めた。

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