「コタローは一人暮らし」8話隠し通さなければいけない真実を見てしまった狩野
コタローのクラスの男の子は、花輪先生に向けて質問を投げかけた。その答えに困る花輪先生。そこに園長が来た。
「なぜなぜ期」それは成長の過程においてとても大切なことだと教えてくれた。コタローにはそれが理解できなかった。
アパートでは狩野がコタローに土下座をしていた。家賃が払えなくなり、次の原稿料が入るまで居候させてください。
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母上のなぜ?
そこでコタローは、早速狩野に質問をした。「自分にはなぜと言う気持ちが起きない」でも狩野には何となくわかった。
狩野は中学生の時に両親を事故で亡くしており、父方の兄弟に引き取られて育った。
しかし、周りの顔色ばかり見て過ごしてきたので、自分の中に疑問があっても、気を遣って聞くことができなかった。
コタローもきっと同じように、周りに気を遣い自分の「なぜ」を押し殺しているのだと思う。
コタローには少し難しい話だったが、なんとなく理解できた。しかしコタローには心残りがあった。母上の「なぜ」に答えられなかったこと。
狩野にその時の状況を聞かせた。「桃太郎」を読んでいたコタローが、桃太郎はなぜ桃から生まれてきた理由を母に聞いた。
すると、逆に「なんで生まれてきたのか私が知りたい。私はなんて生まれてきたんだろう。子育てをまともにできないダメな母親だよね、どうして生まれてきたんだろう」
コタローはこの母上の「どうして生まれてきた」に答えをあげることができなかった。その答えを狩野に求めてきた。
狩野は普通に、「そりゃお前に出会うために生まれてきた」と答えたがコタローは「ならばなぜわらわに質問した?」と狩野の答えが間違っていると指摘してきた。
そして納得できなかったコタローは、弁護士事務所に電話をかけたり、美月に電話をかけたり、田丸に電話をかけたりして同じ質問をした。
しかし、どの答えもコタローが納得できるようなものではなかった。そんな時狩野に叔母から連絡が来た。
「今度そっちへ行くからついでにしんちゃんの家に行くね」と突然の訪問になった。家賃が払えないのでコタローに頼み込んで
コタローの部屋は隣だと言うことにした。しかし、おばにコタローの話をすると興味津々で会いたいと言ってきたので、当日はコタローもおめかしして待っていた。
コタローのなぜ?
どうやら近くで親戚の結婚式があったらしく、そのついでにしんちゃんの顔を見に来たらしい。
そして引き出物にカステラをもらったので、一緒に食べることになったが、食べている最中にコタローの「なぜ」が自然に生まれた。
「狩野殿、なぜおじさんには普通に喋っているでござるが、おばさんにはなぜ敬語でござるか?」
一瞬その場の空気が止まってしまったが、おじさんがコタローを外に連れ出して遊んでくれた。
2人きりになった叔母と狩野も外に出て2人の様子を見守っていた。その時に過去の話になった。両親が突然事故で亡くなり、
兄弟である叔父が引き取ることになった。その時おばさんは夫に向けて苛立ちをぶつけていた。「自分の子供の子育てでも手一杯なのに、どうして人の子預からなきゃいけないの!」
狩野は偶然にもその会話を聞いてしまったのだ。だからそれから叔母に対しては敬語を使うようになった。
改めてあの時のことを謝る叔母。しかしもう過ぎたことで、自立するまでしっかり育ててくれた叔母に狩野は感謝していると伝えた。
それじゃ改めて、今後敬語を使うことをやめよう。と2人で決めたが、すぐにはやはりおじさんに話すようにを話せなかった。
でも狩野にとっても良い再会だったと思う。そしてコタローはおじさんに遊んでもらうことができて良かったと思う。
きっとおじは、5歳にして両親がいないコタローが不憫だったのだろう。狩野でさえ中学生で、まだ大人の助けを必要としていた。
しかしコタローは5歳で既に一人暮らしをしている。少しの時間でも、気が紛れるよう遊んでくれたのかもしれない。
狩野にお願い
コタローが真剣な面持ちで、狩野にお願いをしてきた。そして一緒にお墓へとやってきた。
コタローは母上の父上と母上に挨拶がしたい。と言ってお墓に来たのだった。そして花を手向け、近況を報告する時、
狩野は気づいてはいけないことに気づいてしまった。コタローが「わらわの母上の名前はさよりと言うぞよ。」と言った瞬間に、
墓跡に刻まれた前に「小夜利 享年三十…」と、見てしまったのだ。弁護士事務所は知っているが、それ以外でコタローの母の死を知ったのは狩野だけだった。
コタローに前に来てお参りすることを勧められたが、そこを動く事はできなかった。「ここからお前がちゃんとお参りしている姿を見見守ってやるよ」とごまかした。
狩野はコタローにも絶対嘘をつかないと約束をした。この先もずっと絶対に嘘をつかないと約束した。
でもこの嘘は、彼が自分で知るまで突き通すなければいけない嘘だと感じた。しかし自分の胸にしまっておけず、たまたまかかってきた美月の電話で話してしまった。
コタロー眠っていたが、この会話は聞こえていなかっただろうか。母上に会えることを信じて、母上の言いつけを守っているのに。その母上はもういない。悲しい現実をしてしまった日。
翌日編集者の担当が来た。読み切りの連載が評判が良く、あと3話追加で短期連載することになった。狩野にとってはじめてのチャンスだった。
そしてはじめての短期連載のお祝いに、担当者から雑誌が発売される前だが、先に原稿料が支払われた。
これでコタローとの共同生活も終わってしまった。
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