「グランマの憂鬱」7話、亜子の一人遊び、ミキの同級生、しまい込んだ言葉
夫の実家である「百目鬼家」に住むために、仕事の関係ですぐにには来れない夫より先に、
妻の由真と娘の亜子が、先に「百目鬼家」に来てしばらくたった。村の生活にも慣れ、人々との交流も盛んになってきた。
そして、由真は少しずつミキから見習おうと、「ぬか漬け」を作っていたが、ミキが急ぎの用で東京へ行くことになった。
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亜子の一人遊び
百目鬼村に来たときは、亜子は何もかもが初めてで、怖くて由真から離れられなかった。しかし、グランマの良さに気づき
グランマについて回ることから、様々なことを覚え、自然を知って少しずつ成長していた。
そして、今では由真がいなくても、村の中で自由に遊びまわることができるようになった。
グランマはそれも「成長のあかし」と考えていた。そのおかげで由真はグランマから様々なことを教わり
今は「ぬか漬け」に挑戦していた。グランマから「ぬか床」を分けてもらい、毎日心を込めてぬかを返しては
世話をしていた。そんな時電話が鳴った。グランマと学生時代に仲が良かった5人組の一人が亡くなった。
そして、友人をしのんで集まろう。ということになった。場所は東京のホテルのレストラン。
ミキは由真に留守を任せて、着いていきたがる亜子を説得して、出かけて行った。そして、グランマの前では出せなかった
初めてのぬか漬けを、三婆と村長に食べてもらった。みんな一斉にほめてくれたが、由真にはまだグランマに食べてもらう自信がなかった。
進級のお祝いに5人お揃いの、毛糸で編んだ花のブローチをプレゼントしてくれた。結婚の時
「親戚の紹介だからきっとうまくいく」と言っていたが、ミキはほかの3人と会う前に自宅へお邪魔して、
線香をあげることにした。しかし、あきの孫が困っていた。生前から祖母には苦労を掛けてきた祖父のことだった。
偏食家で好き嫌いが多く、昔は印刷所を経営していてはぶりもよかったが、経営が傾いて工場をたたんでからは
あきが家計を支えていた。それでもいつも自分の不満を祖母にぶつけていた祖父。そんな祖父を好きになれない孫。
そして、娘も父の言動や、行動に手を焼いていた。母が亡くなってから寝込んでいる父は、何かと強く当たってきた。
しかし、ミキはそんな友の夫に向かい「いうべき言葉を胸にしまい、言ってはいけないことを口に出すのではない!!」
と、しっかりといましめた。そして、妻が作っていた「しょうもないものは好きにもらってくれ」と言われたので、
たくさんの編み物の中から、黄色い花をもらった。ちょうどあの時作ってくれたブローチと同じだった。
そして、娘は涙に暮れていたが、ミキは「看病でそれどころじゃなかっただろ、存分に涙するといい。そしてあんたももらったもんがあるじゃろ」
と、問いかけると、あきは偏食家の夫のために「レシピノート」を残していた。ミキと一緒にキッチンに立った。
同級生のあきは「うれしいことがあると作りたくなるの」と言っていたことを伝えた。これだけだくさんの
編み物をしていたということは、同級生のあきはこの家に嫁いできて「幸せだった」ということを示していた。
そして、父に食べてもらうために運んできたが、「お前の飯はまずくて食えん!!」という父に対して
娘は「お母さんが残したレシピを、ミキさんと一緒に作ってみたの」と料理を差し出した。懐かしい妻の味に
心にしまい込んでいた「苦労をかけて申し訳なかった。ありがとう」という言葉とともに涙が流れた。
そのころ、亜子はグランマの帰りを待ち、グランマの部屋にいたが、スマホの忘れ物に気づいた。
ミキは行先のホテルをメモで残していたので、由真と一緒に届けることになった。すると村長が「これを渡してくれ」と何かを持たせた。
「おじいちゃんが熱を出した」と慌てた様子だった。そして、熱にうなされているのか、「わしは、病院にいかん!!」
と、言っては「このまま逝かせてくれ」と口にしていた。しかしミキはあきはそんなことを望んではいない。
と、諭した。そして夫は胸にしまい込んだ思いを吐き出した。本当は妻のことを愛していたからこそ
昭和の男として素直になれない部分もあり、苦労も掛けてきた。しかし、最期になっても肝心な言葉は胸にしまい込んだまま言えなかった。
だから、ご飯を食べて素直にありがとうと言えたが、本当は愛している妻を亡くし、寂しい思いをしていたのだろう。
そのことも胸にしまい込んだまま、娘にきつい言葉を投げかけていた。ミキに諭されて夫は「病院へ連れて行ってくれ」ということができた。
そのころ、由真たちはホテルについていた。亜子はグランマを見つけて駆け寄るが、違う人だった。
そして、赤ちゃんが泣くとサラリーマンが咳払いをした。すると、近くに座っていた老人が、
「赤ちゃんの仕事は泣くことだ!」と大きな声で言うと、サラリーマンは居心地が悪いのかその場を去り、
母親は「すみません」とみんなに謝ったが、老人は「すみせんは違う!」と赤ちゃんが泣いて謝ることは違うことだと諭していた。
そして、亜子は一人でトイレに行くと、黒い服の人物にぶつかり「ごめんなさい」と誤ったが、
「おばあちゃん」というべきなのか、「おじいちゃん」というべきなのか悩み「おじいちゃん?」と聞いてしまった。
すると、女性は「おばあちゃんだよ。人を見た眼で判断してはいけないよ」というと、亜子は「いろいろな人がいるってことだね。」
と笑顔になった。3人はレストランにそろったが、ミキだけが来ない。心配で電話をすると由真が出た。
そして、ミキの代わりに先にレストランへ行くことになった。すると全員亜子たちが先ほど会った人たちばかりだった。
するとそこにミキがようやく到着して、由真は村長からの預かりものを差し出したが、中身は由真の「ぬか漬け」だった。
恥ずかしくて、隠したい気持ちだったが、グランマをはじめみんながぬか漬けを口にしてしまった。
そして、グランマは「なかなかやるね」とほめてくれた。そして由真が帰った後、「随分素直になったね」
と言われ、「言いたいことをいつも言えるとは限らない」と、自分も言葉を胸にしまわずに口にする大切さを思い知っていた。
そして、百目鬼村に帰ってから、亜子は変わらず一人遊びをしていたが、ミキにはあきが相手をしてくれているように見えた。
しかし、亜子に「誰とあそんでいたんだ?」と聞いても、「亜子一人だよ」と言い、ミキの厳格だったが、
ミキは帰ろうとしたとき、胸に違和感を覚えた。亜子に尋ねられたが「何でもない」と一緒に帰宅した。
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