「おいしい給食」season2、9話坂田の転校とコッペパン

甘利田のクラスの坂田が、母の仕事の都合で越すことになった。しかし坂田の顔は沈んでいる。

 

みんなの前で最後の挨拶をしても、どこかはかない顔をしている。同じく転校してきた神野が

 

「悔いのないように」と言ったことから、彼は何かを思いついたようだった。

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甘利田の笑顔レベル

今日の給食には珍しく「牛肉」が出る。それはめったにないこと。甘利田にとってこの上なく嬉しい日。

 

そんな感傷に浸っていると、宗方先生から邪魔をするように呼び出された。今日で転校する坂田の母が職員室に挨拶に来ていた。

 

母親とは対照的に、暗く沈んだ顔をしている坂田。この学校とさよならするのが寂しいのだろうか。

 

甘利田が席に戻ると、宗方先生が話しかけてきた。「今日の給食はなんですか?先生の今日の笑顔はレベルは高いですね。私なんとなくわかってきました」

 

宗方先生は、教育委員会から甘利田の監視を頼まれているうちに、給食が好きなものだと、笑顔が増えることに気づいていた。

 

そして朝のホームルームで、坂田が今日で転校することが告げられた。すると神野が手を挙げて発言した。

 

「僕も母親の仕事の都合で、途中で転校してきました。だから気持ちはわかります。悔いのないようにしてください。僕は可愛がっていたミドリガメをもらってきました」

 

と発言した。すると坂田は休み時間に学級委員の所へ行き、次の休み時間校舎の裏まで来てほしいとお願いした。

 

それを聞いていたからクラスメイト達は、「告白」をすると思い、次の休み時間に見つからないように見守っていた。

 

しかし実際は、彼女がため込んでいる「おかわり券」を譲って欲しかった。彼女も少し期待したのだろう。しかし内容が内容だけに、彼女は怒って去っていった。

 

何を話していたのか、見守っていたクラスメイトたちには聞こえなかったが、おそらく坂田はふられたのだと、勝手に思っていた。

 

しかし、このおかわり券がもらえなかったことで、坂田はある行動に出た。

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給食当番だった坂田

この学校最後の日に給食当番だった坂田。神野も同じく給食当番だった。そして最後に運び込まれたコッペパンを、神野がここに置くように指示すると、

 

坂田はコッペパンを持ったまま、教室に入ろうとしなかった。するといきなり入れ物を持ったまま走りだしてしまった。

 

神野は慌てて彼を追いかけた。そして甘利田も非常事態に慌てて2人を追いかけた。すると神野は橋の上にいた。

 

坂田の居場所を聞くと、河原を指差した。野良犬らしき犬の側に、彼は座ってコッペパンの入れ物がそばに置いてあった。

 

近くに行き話を聞くと、犬の名前は「シンゲン」ここの河原でひっそりと面倒を見ているらしい。そしていつも給食を残して、一緒に食べていると言う。

 

今日でもうあえなくなるので、できるだけたくさんパンをあげたかった。甘利田は「浅はかな考えだ」と言った。

 

犬には「残しておく」と言う概念がないため、何日か分残しておいても、きっと1日で全て食べてしまうだろう。

 

そこで甘利田は、坂田の最後の願いを叶えるため、校舎の中に犬を入れることができないが、神野に坂田の給食を校舎の裏に運ぶように指示した。

 

そして、コッペパンを1つ余分に用意してくれた。坂田は校舎の裏でシンゲンと、この学校最後の給食を一緒に食べることができた。

 

満足していると、だんだんと眠くなってきてしまった。知らないうちに眠ってしまった。

 

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無事に戻ってきたコッペパン

何とか給食開始前までに、コッペパンは無事に教室に戻ってきた。そして早速お楽しみの給食を食べる時が来た。

 

まずは1番楽しみにしていた牛肉から。一緒にこんにゃくとごぼうが煮込まれていて、それがとてもいい味を出している。

 

そして今日のもう一つの楽しみは、ハムとチーズのはさみ揚げ。カリッとしてトロットした食感はやみつきになりそうだった。

 

その時ふと思った。神野はどうやって食べているのか。思った通りコッペパンにはさみ揚げを挟んで食べている。

 

するとある考えが浮かんだ。彼が坂田を追いかけたのは、友達をかけたのではなく、今日の給食を楽しむためのコッペパンを追いかけていた。

 

そして自分も例外ではなく、坂田ではなくコッペパンを追いかけていた。つまり兄2人でコッペパンを取り返した。いわば動詞と言える。

 

ならば今日は自分も、神野と同じく給食を楽しも。はさみ揚げをコッペパンに挟んで食べることにした。

 

見る事はないが、今まさに彼と自分は「シンクロ」しているはず。同士は同じように給食を楽しんでいる。しかしそんな様子をうれしそうに廊下から宗方先生が見ていた。

 

みんな下校した後、校舎の裏に行った。給食の後眠ってしまった坂田。カバンを持ってきたのだ。給食の器をもらい

 

カバンを坂田に渡した。彼はゆっくりとシンゲンと、給食を楽しんだことで、別れることができなくなった。母に頼んで引っ越し先に連れて行くことにした。

 

そんな坂田を2人は見送った。甘利田は教育委員会の審理にかけられているとは知らずに、明日の給食を楽しみにしていた。

 

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