2杯目、スナックあけみに拾われた青山【金魚珈琲】悪しき旧友「珈琲いかがでしょう」3話
オフィスでキッチンカーを片付けようとしていると、平の姿が見つけた。青山は車の後ろに隠れ
平が行き過ぎるのを待ち、何とか逃げることができたが、住宅街のような場所を走っている時に
車に違和感を覚えた。降りてみると前輪右がパンクしていた。それを呆然と見ている女性!?
コンテンツ
スナックあけみ
タイヤがパンクした「タコ珈琲」カー。を呆然と見ている青山。ふと目をやると女性!?が、
破れたゴミ袋を引きずるように持ち、それには穴が開いて中からビンの割れた欠片が散乱していた。
青山はその欠片を踏んでしまったようだ。パンク修理もかねて少しの間、女性!?のお店でお世話になることにした。
女性の名前は「あけみ」近くのスナックを経営している。いわばゲイママ。
「スナックあけみ」は開店と同時に大賑わい。あまりにも忙しく青山もお手伝い。
そこで作られたのが、焼酎を珈琲で割った「珈琲焼酎」なかなかの評判に、次々と注文が入った。
そこへサラリーマン風の男性が入店してきた。「初めてだけどいいかな!?」
と、言うとカウンターの奥の席に座り、あけみをじっと見て驚いたように声をかけた。
あけみも男性の顔を見ると、しばらくして驚いた。中学生の同級生遠藤だったのだ。
野球部のエースで人気者だった遠藤。対照的に色白でその頃から今でいうジェンダーレスな自分を覚えていないと思っていた。
それから、店が終わり2人は昔ばなしに花を咲かせていた。
あきらめた夢
あけみは歌手になることが夢だった。そこそこ歌がうまく、クラブで歌うなどしていたが
やはり、自分には「プロ」としての素質が足りない。とあきらめた。
しかし、あきらめたのにはもうひとつ理由があった。一人息子のため、高齢の母の介護が必要となり
地元に戻り、スナックをオープンし、昼間は施設にいる母のところへ行く日々を送っていた。
しかし、散歩に付き添っても知っている人の声が聞こえると、あけみは母から離れた。
母は「女装した息子」を見られるのを恥ずかしかったのだ。あけみも十分わかっており、遠くから他人のふりをしていた。
しかし、お店に戻れば元気いっぱいのあけみちゃんは、お客のリクエストでよく歌を歌った。
十八番は中森明菜なのか、お客が選曲してあけみが歌う。そんな日常も楽しかった。
しかし、遠藤は「このまま夢をあきらめていいのか?」とあけみに問いかけた。
ちょうどカウンターには、小さな金魚鉢に1匹の金魚が泳いでいた。
「この金魚のように狭い、この店の中で満足していていいのか?」
と、問いかける遠藤に、あけみははっきりと言った。
私の居場所
あけみは遠藤に言い返した。「この金魚はね、最初は広い水槽で飼っていたの。そしたら病気になったから、小さい鉢に移した」
この子にはこの大きさがちょうどいいように、私にはこのお店がちょうどいい。
常連さんだって、いつもたくさん飲み物を頼んでくれるし、若い女性のお客さんだって
新規のお客を連れてきて、お店の風通しを良くしてくれる。あなたみたいにお天道様の下を歩けないけど人を上っ面だけで判断しないで!!
私には、この店が居心地がいいの!!と、言い返すと、いきなり遠藤が「この店には悪い磁場が巡っている!!」
と、突然言い出し、「早く浄化しないと!!」とカバンから大量の瓶を取り出し、何粒かの錠剤をのんだ。
そして、「俺はずっとこれを飲んでいる。朝もスッキリ目覚められて調子がいい。」
「お前も飲んだ方がいい。契約は〇か月で、紹介すれば30%入ってくる」などと言って契約させようとした。
そこに、奥のソファーで眠っていた青山がやってきて、遠藤の腕を捻じ曲げた。
恐れおののいて、遠藤は逃げ帰って行った。結局はネズミ講狙いで最初からあけみをターゲットにしていたのだ。
翌日青山は次の場所へ向かうため、お店を後にしたが、あけみはずっと青山をどこかで見たことがあった。
帰った後に思い出した。スナックでヤクザのような男たちに絡まれ、店中めちゃくちゃにされた中、
金髪の1人の男性が近づいてきて、あけみの手を引っ張ると外に連れ出し、今のうちに逃げろ。
と、恐怖から解放してくれた青年。あれは間違いなく青山だった。2回も彼に助けられたあけみ。
彼が残していった「珈琲焼酎」を静かに味わっていた。
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