「ムショぼけ」9話、夢にうなされる宗介、刑務所での体験を記事にする
宗介は夢を見ていた。人気ベストセラー作家となり、テレビに出演しインタビューを受けていた。
しかし、MCから家族のことを暴露したことで、スタジオに家族が来ており、宗介は一斉に攻められた。
無断で自分たちのことを暴露されて、責任を感じた宗介。しかしそれは夢だった。夢でよかった。
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いなくなった夜間警護官
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宗介は正式に依頼を受けて、14年間での生活をエッセイすることにしていた。その中で眠ってしまったため、自分がベストセラー作家になった夢を見た。
しかし最後にMCが座る席に、夜間の敬語間が座っており、「お前にはまだ作家なんて無理なんじゃ。ほなさいなら」と言って去っていった。
夢から目が覚めてエッセイの酢漬けを書こうとするが、何を書いたらいいのか浮かばない。夢の中で、家族のことを勝手に暴露したことを怒られたことで、
より慎重に書かなければいけない。そう思えば思うほど書けなくなってしまった。いつもなら警護官が「お前には無理だ」と言ってくるのに
やけにもありが静かだった。そしていつもの警護官の姿を探してもどこにもいなかった。寂しくなってしまった。
刑務所から出てずっと今まで、警護官がそばにいたのに。突然いなくなってしまった。それはムショぼけから脱することができた良い兆しかもしれないが、
あまりにも突然で何をしたらいいのかさっぱりわからなかった。気づくと刑務所での習慣を繰り返していた。
布団をきれいにたたみ、洋服もきれいにたたみ、全てを1カ所にきちんとまとめて、部屋をきれいにした。
そしてそんなことよりもエッセイを書くことが先だと気づき、パソコンに向かった。しかし気づくと壁に向かって黙祷していた。
警護官がいなくても、つい刑務所での暮らしの習慣が、何をしたらいいかわからない時に出てしまう。
上面だけのエッセイ
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宗介はリサ「文才がある」と褒めてくれたことを信じて、エッセイを書き上げた。
そしてリサが送ってくれた、彼女が作詞作曲した歌を聴いていた。本当に自分は書きたいことをかけたのか。
それを考えると、どうしても書かなければいけないことに気がついた。リサとの出会いのこと。これがあったからこそ、宗介は今がある。
いちど全て書いてしまったエッセイを消して、全てを書き直すことにした。もっとより深く自分の気持ちを入れて、新しく書き直すことにした。
しかし家族のプライバシー等に関しては、配慮しなければいけないと思いつつ、初めからやり直した。
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書くほどに、自分がどんな人生を歩んでいたのか、どこで間違ってしまったのかより鮮明になってくる。
なぜ目先のことだけを見て、カチコミをしたのか。家族がとても大事だったのに、逮捕されるなんて夢にも思っていなかった。
そして自分が刑務所から出てきたのに、かつての仲間たちは、執行猶予中であったり、飲酒運転でひき逃げをしたりして、
宗介と入れ違いに刑務所に入ってしまった。そしてやはり書かなければいけないのはリサとのこと。
彼女がいたからこそ現実の社会に、何とかついていくことができた。そして彼女がいるからこそ、楽しい生活が待っていた。
そうなるとやっぱり、あの時最後にリサが抱きついてきた時、人の目を気にして抱きしめてあげなかったことが悔やまれて仕方がない。
「泣きたい」のメールの後にすぐ電話をしていれば、リサはまだこの世にいたかもしれない。でも自分はメールで済ませてしまった。
そのことが1番悔やまれて仕方がない。きっとこのエッセイはリサに捧げることになるだろう。宗介は完全にムショぼけから脱した。
家族やリサのおかげで、14年の歳月を少しずつ埋めていくことができた。これをうまくエッセイにまとめることができるだろうか。
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