「フェルマーの料理」6話、海の狙いと料理コンペそしてコンペの日

海は相変わらず岳をもっと上に押し上げたいと思っていた。しかし、岳はみんなと楽しくやりたい。

 

そう思っていた。特にスーシェフに対しては、いつも頭で考えてしまう岳にとって、

 

「料理は感じるもの」と教えてくれた。大切な人だった。しかし今回はあるコンペが開かれることになった。

 

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海の狙い

海は一緒に岳と殻を打ち破りたいと思っていた。しかし、岳はそこに「競争」が伴うことに抵抗を感じた。

 

自分は小さい頃から数学が好きで、たくさんの問題を解いてきた。しかし「数学オリンピック」を通して、

 

自分は人と競い合うことに向いていないと気づいた。だからこの店でもみんなと仲良くやっていきたかった。

 

しかし、海はそれでは上には行けないと言ってきたのだ。お互いにケチらしあうのが上に上がる方法だと言う。

 

海はある場所に来ていた。それは有名なホテルのレストランだったが、いつも海が夜食を振る舞っている、

 

渋谷がかつてオーナーを務めていたレストランだった。自分はもうオーディエンスとして楽しんだ。

 

次は君が見せてくれる番だ。と言ってあるパーティーの料理をフルコースで任せることにした。

 

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料理コンペ

あるパーティーがそのホテルの1室で開かれるため、その際に出す料理を海たちが任された。

 

しかし、海にはある考えがあった。スーシェフを外、残りの料理人でコンペを開くと言うのだ。

 

題材は自由。そしてそのコンペに勝ち抜いたものに、料理のフルコースを任せると言うのだ。

 

岳は競争が嫌いだから、このコンペには参加したくないと思った。スーシェフはその気持ちを感じ取り、

 

「コンペに参加しなければ、競争しなくて済む」と言ってくれた。岳もその意見に賛成した。

 

そしてみんなのまかないを作ろうとすると、全員が任せたと言って、どっかに行ってしまった。

 

既にコンペの準備を始まっていた。それぞれが思い思いの食材を使って、たった1品の料理を作り出す。

 

そのために、まかないを作る時間を岳に任せて、様々な試行錯誤をしていた。

 

お店が休みの日にも、入れ代わり立ち代わりやってきて、料理の試作を行っていた。

 

岳はある時、まかないにオムライスを出した。するとみんなが驚いた。「火の通ってないオムライス」と口口にした。

 

岳は数学の理論を使って、適正な温度で湯煎をしながら、生卵200回かき混ぜる。それをライスの上に乗せる。

 

そうするとまた違った食感のオムライスが生まれることになった。しかし、家に帰ると海が料理を振る舞ってくれた。

 

それは自分が考えた。オムライスよりもはるか上を行くものだった。卵は同じようなものだが、

 

下のライスがリゾットになっており、半生の卵と食べることにより、さらに口の中で溶け合って美味しくなる。

 

やはり、岳は海についていきたいと思った。そうなると「みんなを蹴散らす」ということで、競争の世界に入っていくことになる。

 

岳は悩んだが、自分もコンペに参加することにした。しかしまた海が帰ってこない日が増えてきた。

 

彼に相談したくてメールをしたが、たまたまスーパーから出てくるところを見てしまい、後をつけていた。

 

海は、大きな門の前で立ち止まり、後ろから岳がついてきていることに気づいていた。

 

そして、海を出迎えた2人の男性は、岳のことを知っていた。そして初めて海が2人に夜食を作っていることを知った。

 

そして、そのうちの1人が、伝説のシェフ渋谷だった。しかし既に一線から退いており、今は見守る立場にあった。

 

もう1人、上半身、裸の男性は、何者かわからなかったが、海が夜食を作るほどの人だから、すごいのだったろう。

 

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やってきたコンペの日


岳はスーシェフが以前自分のレストランを持っていたことを知った。そしてその話を本人から聞いた。

 

店の看板メニューは子牛の料理。それは考えただけでもとても美味しそうだった。しかし、海についていきたいと思い、

 

店を畳んでこの海の店に来た。そしてスーシェフとなり、海の右腕となり店を支えてきた。

 

しかし彼は今回のコンペからは外されている。その理由は何なのだろうか?

 

孫六から料理を披露することになったが、パーティーの中で食べる料理としてはふさわしくないと却下された。

 

そして次々に料理が提供されていく中、海が納得する料理はなかなか出てこなかった。

 

そして、最後に岳がキノアを使った前菜を出してきた。そしてそれをひと口食べた。海は「これで終わりか?」

 

と言うと岳は「ちょっと待ってください」と言って、厨房に戻り、スープを持って戻ってきた。

 

そして、前菜にかけた。前菜を使ったときに出たスープの出汁をかけて、リゾットのようにして食べる料理だった。

 

そして海はまた「これで終わりか?」と聞くと、岳は厨房から材料を持ってきて、スフレ状のものと

 

子牛のカツレツを上に乗せた。それを1口食べた。寧々が「カツ丼」と言って驚いた。

 

海が食べさせてくれたリゾットと、スーシェフが得意としていた料理を掛け合わせたものだった。

 

海は蘭菜と岳、スーシェフを残し、後は片付けに行くように指示をした。そして「残した意味がわかるか?」

 

と、聞くと不穏な空気が漂っていた。海は誰が1番なのかを聞きたかったのだ。そして、わざとスーシェフを外した意味をわからせたかった。

 

蘭菜は今回王道のたが、フォアグラで勝負をしたが、その料理がスーシェフより上なのかどうか?

 

そして岳の料理がどうだったのか、はっきりとした意見を聞きたかった。そしてスーシェフは自分の立場に甘んじて、

 

考えることを怠り、新しいメニューを試行錯誤することを忘れてしまった。今ならば蘭菜の方が上だ。

 

と、伝えた。確かにスーシェフは自分の店を経営するとは、試行錯誤していた料理を、この店に来てやめてしまった。

 

考えるよりも感じることで、料理を満たすことに甘んじていたのだ。海はそれを知って欲しかった。

 

スーシェフは店を飛び出して、路地裏で泣いていた。確かに自分の店は持っていた時と今は違う。

 

今回のコンペで思い知らされた。自分が考えないことで、海はコンペから外したのだ。

 

海がそばにやってきて、「お前がいたから、この店をやってこれたが、やめるなら止めない」と告げていった。

 

そして全員が揃ったところで、「もう誰の料理が1番かわかっているだろう。」と言って、今回の優勝者を発表した。

 

それは岳だった。またもや海が望む場所まで、岳は自分の力で這い上がってきた。

 

そして、このパーティーについて、目を通しておくようにと資料を渡されたが、そこにあったのが

 

かつて数学オリンピックのライバルであった、広瀬の名前だった。彼に料理を振る舞うことになる。

 

そう考える岳は過呼吸を起こし、その場で倒れてしまった。海は、とっさに駆け寄ったが、岳は呼吸が乱れたままだった。

 


 

 

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