「フェルマーの料理」1話、岳の退学、ナポリタンの調理、復学のチャンス
岳は名門「名門ヴェルス学園」に通っていた。決して裕福な家ではないが、幼いころから、
「数学」が好きで、数学一筋できた彼には、「数学オリンピックで優勝する」という目標があった。
「名門ヴェルス学園」は数学オリンピックで10連勝している名門校だった。そのため岳を「学費免除」の特待生として迎え入れた。
コンテンツ
岳の退学問題
岳の自宅は小さな自転車屋さんを営んでいた。母を早くになくし父に育てられた。そして額は小さなころから
「数学」が大好きで、いつの間にか父の夢は岳を「東大に入れる」ことになっていた。そして、
夢を順調にかなえるかのように、岳は「名門ヴェルス学園」に学費免除の特待生として入学することができた。
もちろん「数学オリンピック」で優勝することが、前提の入学だったが、岳は結果的に優勝できなかった。
理事長はその事態を重く見ていた。わが校の連勝記録を絶やした生徒にはそれなりの罰が必要と思っていた。
岳はレストランでバイトしていた。そこには同級生の亜由も一緒に働いていた。オリンピックで結果を残せなかった岳は
失意の中賄を作っていた。それはナポリタン。そして岳が食べようとすると見知らぬ男が来て、いきなり温度を聞いてきた。
岳は訳が分からず「42度」です。と答えると、男性は岳のナポリタンを全部食べてしまった。
まだ岳はその時、自分の身に「退学問題」が降りかかってくることを知らなかった。
原作
小林有吾
『フェルマーの料理』
ナポリタンの調理
岳は翌日になり、バイト中に亜由の電話で自分が退学処分になったことを知った。雨の中学校に急いだ。
確かに掲示板に自分の退学処分が書かれていた。これでは困る。父の夢である「東大」を受験することができない。
岳は理事長室に急いで、退学の取り消しを求めたが、門前払いされた。そして愕然とする彼の前を
あの「ナポリタン」をすべて食べてしまった男性が通り過ぎた。なぜ学校にいるのかわからなかった。
男の正体は若き天才料理人の海。東京で「2つ星レストランK」を経営している若きシェフだった。
理事長は普段からお世話になっている、学校関係者の方々を「K」でもてなしたいと海を学校に呼んでいたのだ。
しかし、岳はこの時はまだ知らなかった。あのナポリタンが彼の人生を大きく変えていること。
そして、あの時海は岳の「料理の才能」を見出していたことを。まだ知らずにいたのだ。たった一皿の
「ナポリタンの調理」が彼の人生を大きくこの後を変えていくとになるのだ。
岳にやってきた復学のチャンス
海はある計画をひそかに立てていた。そして理事長の食事会が開かれるときに、岳を東京のお店に呼んだ。
何をすればいいのかわからない岳。しかし海は「今日のメインにご満足いただければ」とある提案を理事長にしていた。
理事長は何も疑うことなく「2つ星」のレストランを貸し切りにして、おもてなしできることに大満足していた。
そして、料理がどんどん出されていたが、海が岳に「メイン料理」を作るように指示をした。
岳には料理の知識は何もなかった。しかし、海に言われたのは今回ここに呼ばれた意味なのだろう。
と解釈して、料理を始めたが、周りのプロの料理人は岳の調理法が異端児に見えた。ゆでたパスタを冷蔵庫に入れたのだ。
そして、玉ねぎなどはしっかり焦げ目をつけていた。調理前にはバッドにお湯をはってフォークをつけた。
出来上がったのはあの「ナポリタン」。理事長はどんな豪華なメインが出てくるか楽しみにしていた。
するとナポリタンが出てきたことに憤慨したが、食べた来賓が「何このおいしさ!!」と驚くと
次々と来賓がナポリタンの不思議な食感と、懐かしさに驚きを隠せなかった。そこで海は岳をテーブルに呼んだ。
「今日のメインを調理しました」と紹介した。理事長は自分が退学処分にした生徒だと知り愕然としたが、
海と最初に約束したように、来賓がメインに満足しているので、笑顔が引きつりながらも海と握手し、
海は岳に復学のチャンスをくれたのだった。そして、岳はその「ナポリタン」が数学で計算されつくしたものだと説明した。
フォークを温めたのも、手に持った時に冷たくなく肌になじむ温度にするためだった。そして、パスタを冷やしたのも
独特の食感を出すため、そして玉ねぎを焦がしたのも、独特の香ばしさを出すため、すべて計算されたナポリタンだった。
そして、このナポリタンが岳の人生のすべてを変えてしまうとはまだ思っていなかった。海の計らいで岳は復学した。
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