ついに最後の「サバ缶」が残った。最後のお客さんは?「西荻窪三ツ星酒堂」6話
少し風変わりなバーが西荻窪にありました。それは、人々が気軽に集い心を休める場所。
しかし、メニューは「お客様のお気に召すまま」、そしておつまみはマスターが全国から集めた缶詰の数々。
その中から、お客様が選びつまみにし、お酒を楽しむ場所でした。
コンテンツ
最後の1缶
1年前にこのバーを経営していた、老人がなくなりました。それは今オーナ―となっている小林の祖父でした。
祖父がいなくなり、店も閉店するつもりで、「弔いの1杯」を静かに飲む小林。
そして、兄と仕事を共にしながらも、自分の進路がわからなくなり、雨にずぶ濡れになりたどり着いた雨宮。
そこで、先代のマスターに勇気をもらったことから、常連客となっていました。そして、「最後の弔い」にお付き合いしていました。
弔いは祖父の好きだった「チェリ―酒」。好きな缶詰を開けて、2人は静かにマスターをしのびました。
しかし、雨宮は自分のやりたい「方向性」に迷いがあり、小林は小説家としてデビューしたものの
それ以降、小説が書けないスランプに陥っていました。そこで、雨宮は「休憩しませんか?」と小林に持ち掛けたのです。
「この缶詰がなくなるまで、2人でこの店を続けて人生を一休みしましょう」
と、提案し、2人で新たなBARとして蘇りました。雨宮はバーテンダーとして。小林は本を読みふけるオーナーとして。
そして、ついに最後の缶詰が棚に残りました。サバ缶です。後1名のお客様で最後。
連記事
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マスターに会いに
最後に来たお客さんは女性でした。しかも長らく海外におり、久しぶりにかえってきたから、マスターに会いに来たのです。
しかし、マスターはもういません。しかし、小林の存在に気付いたのです。あの時と変わらず、同じ場所で本を読む小林。
親し気に声をかける女性。小林は思い出しました。常連客の中でもひときわにぎやかな女性だった。
よく祖父と話しをしていたのを覚えていました。昔は「お金はいいから作品を置いていけ」
と、言うため、芸術家たちが集う場所でもあったのです。そして彼女の父は売れないながらも画家をしており
この店で知り合い結婚し、彼女が誕生したのですが、彼女が物心つくころには父はいませんでした。
しかし、彼女の記憶によると「この店に父の絵があると聞いたことがある」というのです。
小林は迷うことなく「あるよ。」と1枚のキャンバスを壁から外しました。「抽象画」で何が描かれているのかわかりませんでした。
しかし、1枚の写真が落ちてきたのです。彼女の母の写真。臨月なのか大きなお腹を愛おしそうに見つめています。
そして、日付は彼女が誕生する1か月前。そしてみんなは気づきました。この絵はずっと「さかさま」に飾られていたのです。
写真と照らし合わせるとよくわかりました。思いがけず父と母の若き日に出会えた女性が最後のお客様。
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両親の思いでサバサンド
最後に残っていたのが「サバ缶」だったので、彼女は母が好きだった「サバサンド」をオーダーしました。
しかも、ソースは「オーロラソース」が家庭の味だそうで、中内は彼女の希望通りサンドイッチを作りました。
嬉しそうに頬張る女性。きっと、父と母の思い出が詰まったこの店で、2人が好きだった料理を食べれてとても幸せだったのでしょう。
そして、最後の缶詰はなくなった。中内は知り合いの厨房から誘いがあった。
小林は「書きたい」と思える素材を見つけることができた。しかし雨宮はまだ何も見つけられていなかった。
しかし、「約束は約束」バーの扉の前で別れる3人。それを雨宮が止めました。
「3人でこの店続けないか?」
その言葉に3人の意見は一致しました。新たに多くの缶詰を仕入れ、人々が笑顔になれるそんなBARを続けることになったのです。
感想
高校時代はただの顔見知り程度だった3人。同じころに「スランプ」を味わうことにより、偶然にも再会し
スランプを乗り切るまでの「休息」の場所としてこのBARは存在していましたが、それはお客様が本当は元気をもらっていたのです。
バーテンダーの何気ない一言は、先代から聞いた言葉であり、小林のピリリとした言葉には深い愛情があり
中内の缶詰は、缶詰で終わらせない腕があり、お客様を元気にして送り出す場所でもあったのです。
本当に「閉店」を迎えてしまうのか・・・。ラストまで寂しさがありましたが、続けることになり本当に良かった!!
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