突然味覚をしなった同級生。偶然出会った同級生『西荻窪 三ツ星洋酒堂』1話

西荻窪にある小さなバー。そこは小林の祖父が営んでいたバー。

 

しかし今は祖父がなくなり、孫の男性がオーナーを務め、バーテンダーとして同級生の雨宮がカウンターを仕切っている。

 

2人は同級生で、ちょっとした縁からこの店で働くようになった。

 

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失望のシェフ

1人のシェフが厨房で、シェフの命である包丁を片付けていた。そしてやってきた後輩に「これをお前にやるよ」と言った。

 

しかし、後輩は、シェフの命である包丁を先輩が手放すなんて、そしてそれを自分がもらうなんてできなかった。

 

それは後輩が、シェフの抱える悩みを知らないからだった。シェフ有名なレストランで働いていた。

 

 

シェフの中内は毎日楽しくも忙しく、腕利きの主婦として働いていた。しかしあまりの忙しさから、

 

突然「味覚」を感じなくなってしまった。シェフにとって味覚を感じないと言う事は致命的なことだった。

 

ずっと夢だったシェフにやっと慣れて、仕事も順調に行きだした頃に、シェフの命を失った。失望の中中家お店を辞めた。

 

いつ戻るか分からないと言われた味覚を、戻ることを願いつつ何をすればいいのかわからなかった。

 

外では雨が降っていた。傘を持たない中家が閉店したフラワーショップの軒下を借りて雨宿りをしていた。

 

 

運命の出会い

その時隣の小さなバーの扉がで開いた。バーテンダーがお客さんを見送って、外に出てきていた。

 

しかし、バーテンダーが突然声をかけてきた。「中内か?」しばらく呆然としていたが「雨宮だよ!」と名乗った。

 

とりあえずお店に入ることになった。しかし中内にとってはあまりいい思い出がない同級生だった。

 

学級委員を務める彼は、面倒見が良いを通り越して、少しおせっかいなところがあり、雨宮を少し疎ましいと思っていたこともあった。

 

昔雨宮はそんなことお構いなしに、あの頃のまま中内に接してきた。そして詳しくは聞かなかった。

 

 

すると奥の方でもぞもぞ動く男性がいた。びっくりした中内だったが、雨宮が同級生の小林だよと教えてくれた。

 

中内にとって、小林はあまり記憶にない人物だった。おとなしかったためあまり話をしたこともなかった。

 

しかし、雨宮は雇われのバーテンダーであり、小林はこの店のオーナーだと言う。店の片隅で古本を読むこれがオーナーの姿だった。

 

実は小林の祖父が経営していたバーだったが、数ヶ月前になくなり、雨宮は1ヵ月前からバーテンダーとして、

 

そして小林は、孫としてこの店を引き継ぐことになった。ある約束を守るために。そして2人は中内をシェフとして雇いたいと申し出た。

 

 

女性客

そのやりとりをしている間、雨でびしょ濡れになった女性が店に駆け込んできた。

 

とてもカリカリとして、苛立っている様子が手に取るようにわかった。そして雨宮は静かに女性の話を聞いていた

 

大手広告代理店に勤める彼女は、やりがいを持って仕事に励んでいたが、クライアントが無理難題を突きつけ、出来上がったものに修正ばかり押し付けてくる。

 

そして無理な納品期限を守れと言う。とても不条理なことに彼女は苛立っていた。そんな彼女にそっとカクテルを差し出し、

 

中内に何かつまみを作るように指示をした。中内が戸惑っていると、厨房に連れて行パントリーを見せた。

 

大丈夫、この店のつまみはすべて缶詰だから。味は大抵決まっている。僕はこの缶詰にの缶詰を合わせたいと思うと、マンゴーの缶詰を出した。

 

 

言われるままに、魚の缶詰にマンゴーソースを作って彼女につまみとして差し出した。その不思議な組み合わせに彼女は途端に笑顔になった

 

味覚を失ったシェフでも、人を喜ばせることができる。中家のかすかな喜びが芽生え始めた。

 

そしてこの店で働くことに決めたが、1つ条件を提示された。それは小林と一緒に決めたこの店の条件だった。

 

それは、元オーナーである祖父が世界中から集めてきた缶詰を、全て使い切ったらこの店を閉めること。

 

期限付きのお店と言うことだ。だから小林も雨宮も、缶詰がなくなったら仕事を失うことになる。それまでに2人は新しい仕事を探すつもりでいた。

 


 

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