一止が決断したこととは?29歳の癌患者『神様のカルテ』最終回
一止が小幡の哲学に共感する部分があり、以前断っていた大学病院への転院を改めて考え直した。
しかし「研修医」扱いなので給料がなくなる。しかし当直などを増やして、アルバイトで何とか家計をつないでいこうと思っていた。
しかし、3年前ハルが突然倒れた。それは妊娠により、貧血を起こしたためだった。初めての喜びに一止は舞い上がった。
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研修3年目
一止は怪獣と同じ病院に異動し、無給で働くことで、最新医療を学び、生活のため当直のアルバイトを懸命にこなしていた。
ハルは娘の小春のため、写真家としての活動を一時休止していた。そのため生活は全て一止にかかっていた。
そんな時に『御嶽荘』の老朽化による取り壊しの話が出てきた。しかし住民の中に大学病院の先生がいる。と言うことをしッたオーナーの息子は、取り壊しの話はなかったことにしてくれた。
きっと彼が、この住まいにこだわるのは、夏目漱石を敬愛するだけでなく、家賃の安さもあるだろう。そして何より職場に近い。
大学病院でも、一止は変人扱いされていた。すっかりそれも慣れた。変人扱いされようと自分は夏目漱石を敬愛する者であり、読書が好きであることに変わりは無い。
だからこそ、患者や仲間に本から学んだ言葉送ってもなかなか理解されなかった。逆に変人扱いされていた。
彼は内科の第4班に配属されていた。そこには他にも研修医が2人いた。一止よりも経験の浅い若い2人。その2人を引っ張っていくのが一止の役割だった。
しかし、一止は大学病院でも自分の考えを曲げる事はなかった。そのため上司とぶつかり合うことも多かった。特にパン屋さんとはよく衝突した。
パン屋さんとは内科医の第4班を仕切るリーダー。大学病院では常にベッドが不足しており、長期入院の患者を早く退院させることが求められた。
しかし、一止はより早く治療するよりも患者に寄り添うことが大切だと、回転を速くするような治療は行わなかった。
そのためいつも4班に割り当てられるベッドは少なかった。そして新しいベッドが欲しいとパン屋さんに言うと必ずパンの話が出てきた。
ここに1つの版がある。そして上田子供が10人いる。でもこのパンは10人で分ければみんなが助かる事は無い。そして一番弱き者に与えれば、他のものが助かる事は無い。
といつも、ベッドのことをパンに例えて話をするので、パン屋さんと言うあだ名がつけられていた。
そのため、患者に寄り添い長期医療を望む患者を、しっかりと見守りたい一止とパン屋さんはよく衝突していた。
しかしパン屋さんは誰よりもよく、ベッドの空き具合などを把握しており、常にベッドが空くように調整していた。
それはかなり後になってから一止は知ることとなった。
運ばれてきた女性患者
彼女は二木美桜。29歳で7歳の子供がいる。夫と3人で暮らしているが、救急搬送されてきた。
診断結果は進行性の癌だった。しかし彼女は外科での治療は望んでいなかった。内科医である一止の治療望んでいた。
オペが必要なため、通常であれば外科で担当する患者だが、彼女の強い希望により一止が担当することになった。
彼女が運ばれてきた日、一止は当直をしており、彼女の診察をした。それで彼女は一止を希望したのだろうか。
違った。本庄病院にいた頃、約9年前まだ研修医だった一止が、彼女の父親を看取ったのだ。それまでの説明がこと細かく丁寧で、信頼のおける医師として彼女の心の中に残っていた。
だからこそ内科医だとわかっていて、一止の治療を希望した。もちろんベッドは無い。しかし、彼女の希望を叶えるため4班の班長である北条が動いていた。
彼女のためにペット確保してくれた。パン屋さんが嫌がる長期治療の患者を受け入れることができた。彼女は早い退院を望んでいた。
しかし、若いこともあり進行が速く、薬を投与してもわずかな効果が見られると、すぐにその薬は効かなくなってしまう。
それでも彼女が退院したいと言う思いを叶えたい。一止達のあらゆる手段で、彼女は退院をして、2週間後から通院治療に切り替わった。
しかし1週間後、夫から救急が入り高熱を出し苦しむ妻が運ばれてきた。しかし彼女は入院を拒否した。家に帰れないことが怖い。
病院では死にたくない。自分の家で死にたい。娘に会えなくなるのはもう嫌だ。と頑なに入院を拒否した。
しかし、一止は家に帰る約束をした。必ず返すと約束して、治療することにした。ただし「麻酔が覚めたら帰っても良い」と言う条件付きだった。
それに対して研修医3年目のあだ名が利休は反論した。麻酔が覚めたら家に返すなんて絶対に無理なこと。
すると一止はいたずらに微笑みを浮かべた。「私は麻酔が覚めたら帰ってもいいと言った。通常麻酔は2〜3時間で覚めてしまう。しかし麻酔の量間違えて多く投与したらどうなる?」
その間に、彼女にとって必要な抗がん剤を投与したり、必要な治療を全て行うと言う。しかし医師として15年の経験がある一止が麻酔の量を間違えるには無理がある。
そこで3年目の利休なら、麻酔の量間違えてもお咎めはないだろう。と利休に自分の治療方針を伝えた。利休は患者のために量を間違えることにした。
翌朝彼女は目を覚ました。麻酔の量が多かったので、朝になって目を覚ましたのだ。それまでに一止、利休、お嬢の研修医たちはできる限りの治療を行っていた。
そして約束通り、麻酔が覚めたので、彼女は家に帰ることになった。そして通院治療にまた切り替えた。
在宅医療
しかし、彼女の状態は長くは持たなかった。夫からすぐに彼女が高熱を出し、病院に行くことを拒否していると電話が入った。
そこで、一止は往診に行くことにしたが、上から大学病院では往診は行っていないと強く止められた。
しかし、一止は白衣を着ずにお嬢を連れて彼女の家に向かった。彼女はまたしても全力で入院を拒否した。
家に帰って来れなくなるのが怖い。しかし、一止ははっきりと
「私でもあなたに残された時間がどれだけあるかわかりません。でも残された時間が1ヵ月であれば、その1ヵ月を全力で生きる。もし半月であればその半月を全力で生きる。そのために病院に行ってほしい」
夫は廊下の窓を全開にして、そば畑を見せてくれた。智美が収穫できたら毎年そばを打つ。それを食べるのが楽しみだと。
美桜は少しでも長く家族と過ごすことを選択した。病院に行き熱を下げる処方を受けた。その後は在宅治療に切り替えた。
しかし大学病院側の訪問看護チームと、一止達は激しく衝突した。一止が提案する医療体制は提供できないと言うことだった。
1人の命がかかっているのに、お前たちはバカか!利休が思わず叫び、一止は頭を冷やすように水をかけた。そして改めて「あなたたちは大馬鹿ですね」と訪問医療チームの体制について批判した。
もちろんパン屋さんからも、きつく叱られたが頼れるところは本庄病院だった。古狸先生に事の次第を話すと、後から懐かしい声がした。
かつて救急看護師長だった外村の声だった。しかし制服が変わっている。彼女は訪問医療看護のリーダーとして今は働いているという。
そして、彼女はもちろん引き受けます。と言って美桜の訪問看護について詳しい打ち合わせを行った。
もちろん大学病院はいい顔しなかったが、そんな事は関係ない。彼女の最期が良いものであるように。ただそれだけを願っていた。
そして怪獣といつもの居酒屋にいた。酒が進まない。美桜の容体が悪化していることが外村から報告が来ている。
もう彼女に時間はない。しかし一止が行くと無理に頑張ろうとする彼女がいるから、先生は来ないほうがいいと外村から言われた。
そして彼女は日付が変わるのを待つことなく、家族に見守られながらこの世を旅だった。
そして後日、病院長たちから呼び出しがあった。一止は覚悟をし、ハルに「いちど自分が働いた大学病院を、家族に見せたいから、今日のランチは大学病院で食べよう」と言って出かけていった。
そして一止は、この病院を去る決意をして病院長館の前に立った。しかしパン屋さんが告げたのは「来年度から4班の班長に任命する」
今班長である北条が論文が認められ、昇進することにより、班長の席に一止が昇格した。自分の持っていた正反対の結果が出た。
一止には何が正しい医療なのかまだわからないが、患者にしっかりと寄り添うことが今できる彼にとっての、最善の医療と言えるのではないだろうか。
もちろんそこには最新の医学知識と、最新の治療機器が必要になることもある。
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