友人の自殺未遂と、患者の死に向き合う医療。一止が病院にとどまった理由「神様のカルテ」1話
一止は大学を卒業し、他の病院などでの経験を積まないまま、信州にある総合病院で働きだした。
彼は一風変わっている。【夏目漱石】を敬愛するあまり、言葉遣いも古風であり、つけるあだ名も一風変わっている。
それはおそらく【父譲り】なのかもしれない。「一」「止」を縦に書けば【正】となるのに、父はわざと2つに文字を離した。
そんな父譲りの一風変わった一止は、妻で山岳写真家の妻と、廃業した旅館【御嶽荘】を改装したアパートに住んでいた。
コンテンツ
なかなか帰宅できない一止
一止は【24間対応】の総合病院に勤務しているので、数日帰れないのも珍しくない。
今日も帰れそうにない。でもなんだか様子がおかしい。そして、周りの呼びかけにも答えず時計を見つめる。
長針・短針・秒針が重なった時、彼はうなだれた。「細君であるハルとの結婚記念日を祝うメールすらできなかった・・・。」
そんなことを思いながらも、他の病院から【たらいまわし】に合う患者を受け入れている。
しかし、患者からは「内科医」が【外科治療】していることに不信感を持たれるが、慢性的な医師不足の中
当直医は必ずしも【専門医】ではない。しかし、彼を悩ませているのはそういった患者からのクレームではない。
【死期】の迫った患者が、どのように【死】を迎えるのが本当はいいのか!?
そんな時、あと1か月も持たない男性患者がいた。家族が揃う中、孫が「死んじゃうの?」と一止を責める。
しかし、無意味に延命することはできない。そして、痛みを和らげるための「モルヒネ」を増やせば記憶障害が起き
最期を家族と迎えられなくなる。しかし、看護師からは「痛みを和らげてほしい!!」と懇願され、孫は怒った目で一止を見る。
しかし、最小限の痛み止めにとどめ、家族との静かな最期を迎えられるようにした。
果たしてそれが正しかったのか・・・。
友人の自殺未遂
一止が住む「御嶽荘」は旅館を改装したアパートとなっているが、住民は一止夫妻と、学士、男爵の3組だけ。
ハルが撮影に出かけているときは、3人で酒を飲みながら語らうのが定番となっていた。
男爵は売れない画家。学士は論文を執筆している。すべてはあだ名で呼び合い、本名で呼び合うことはない。
しかし、ある日ハルがゴミ集積場を通りかかると、大量の【ゴミ】が出されていた。
その中に、学士が大切にしていた「ニーチェ」の本があった。その後女性が学士の部屋を訪ねてきたので、
ハルは学士が「引っ越し」を考えているかもしれない。そして、部屋に女性が来たことから、
「彼女の部屋に引っ越すのか?」という論議が始まったが、学士はそこにはいなかった。
橋にのぼろうとしてやめた。しかし、一止が眠っていると、男爵の叫び声で目が覚めた!!
学士が大量の睡眠導入剤や精神安定剤を服用し、「自殺」を計ったのだ。およそ200錠摂取していたが、
発見が早く命は助かった。しかし何も語らない学士。でも、一止はなんとなくわかっていた。
学士は「大学院に通っている」ということになっているが、そこは一止の母校であり、彼がいう「文学部」はない。
とっくに彼の嘘に気付いてずっと言わなかった。彼は出雲から上京し大学受験に挑戦したが、都会に飲まれてしまい
気おくれした彼はすべての大学に落ちた。しかし、母を悲しませたくないので【合格した】と嘘をつき、
毎月仕送りをもらい続け、母の中では8年経った息子は「大学院」に通っていることになっていた。
先日来た女性は【姉】、母の死を知らせに来たのだ。そこで彼は【罪の意識】にさいなまれ、もう二度と母に謝罪できない現実に
【死】を選択してしまった。彼はこれから姉と地元に戻り、まっとうに生きることで、母への償いをする。
胆のうがんの患者
末期の胆のうがんの清子さん。症状が分かった時に大学病院を紹介したが、「ここでできることはない」
と、返され、再び病院へ戻って来た。そして、一止に懇願した「身内と呼べる者が誰もいないから、ここにいさせてほしい」
一止達は「微笑み女神」として、清子さんを家族のように迎えた。やはり彼女の言う通り、親戚も誰もいなかった。
夫は30年前に他界しており、子供もいなかった。しかし「グレーの紳士」が訪ねてくるようになった。
一止がきくと、「随分昔、夫妻に命ではない大切な事を救われた」と話した。
検査の結果からすると、彼女の余命は短い。最後に「文明堂のカステラ」を食べたい。主人との思い出の味。
そして、山育ちの彼女は山を見たかった。一止付き添いの元屋上から山を眺めていた。
【昔、蔵へ行くと男の子が米を盗もうとしていた。騒ぎを聞きつけた近所に夫は「なんでもねぇ」といい、腹を切り罪を償おうとする少年に、蔵に戻ると大八車に、これなら一冬越せるだろう。と米を一俵乗せた。】
その後彼は猛勉強をして、社長になった村の出世頭。という。それ以上言わなくてもグレーの紳士の正体がわかった。
しかし、屋上へ連れて行ったのがいけなかったのか、病状が進み出血が止まらない。
「輸血を!!」という看護師の言葉に、一止は何も答えなかった。以前彼女が言っていた言葉。
「私がこうして、誰かの血をもらっているのはいいのでしょうか!?ならばもっと必要な人にこの地を届けてほしい」
そして彼女は静かに、夫の元へ旅立った。約束通り、彼女には夫からの贈り物の赤い毛糸の帽子をかぶせた。
中には彼女からの【手紙】が入っていた。それは一止に自分の望む【最期】を迎えさせてくれたことへの感謝だった。
一止は数値が良くないのに、カステラを食べさせたのがいけなかったのか!?とか、屋上へ連れて行ったのが悪かったのか!?
自分を責めていたが、微笑みの女神の望む最期を迎えさせ、夫の元へ旅立つことができた。
そのことに、大学病院からの誘いがあったが、一止は患者に寄り添うため、この病院に残ることにした。
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