「下克上球児」3話、教員免許、起きた事件、初めての大会出場

南雲は夏までと言う約束で、野球部の顧問を引き受けた。しかし最近になり様子がおかしくなってきた。

 

そして一緒に選手の指導に当たっている、山住もその異変に気づき始めていた矢先

 

南雲に呼び出されて真実を聞くことになってしまったが、彼女は「聞かなかったことに」としてしまった。

 

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教員免許

南雲は社会科の教員だが、実は教員免許を持っていなかった。通常であれば大学卒業とともに教員免許は取れる。

 

しかし南雲は試験には通ったものの、単位が足りないことに気づいた。しかし、その時には既に家庭があり

 

焦る気持ちもあって、教員免許偽造してしまった。それは犯罪行為である事は重々承知していた。

 

だから、静かな妻の実家に来て、教員を続ける事は、彼にとって都合の良いことだった。

 

しかし、野球部の顧問を引き受けたことにより、かつての野球部のコーチと顔を合わせることになってしまった。

 

そうなると彼が正式に大学を卒業していないことが、公になるのは時間の問題だと考えていた。

 

そのため既に教員を辞める決意をしており、野球部の顧問もすぐに辞めることにしていた。

 

なぜならば、今やる気になっている。彼らがやっと試合に参加できる夏の高校野球が迫っていたのだ。

 

しかし山住は全て聞いた上で、聞かなかったことにします」と言って、話を終わりにしてしまった。

 

それから南雲は野球部の練習に現れなくなった。それでも山住は顧問に復帰してほしいと思い、

 

練習風景を動画で撮影し、すべて南雲に渡していた。それを見た上で南雲は各選手の強化ポイントを指導していた。

 

それでもグラウンドに現れる事はなかった。選手の間でも徐々に姿を見せないことに不審に思うものも現れ始めた。

 

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暴力事件

バッティングセンターで、会社員たちに絡まれてしまった。野球部員たち。喧嘩はしてはいけないとわかっていた。

 

しかし、弾みで相手を傷つけることになってしまった。誰がやったのか定かではなかった。

 

状況から判断して、野球部の誰かが会社員に怪我を負わせたかもしれない。そして警察に「自分がやりました」と言ったのは

 

3年生の日沖の弟だった。学校は彼を謹慎処分にした。南雲は彼に本当のことを聞こうと思い、

 

何度も謹慎中の彼を尋ねた。しかし彼は自分がやったと言って、それ以上何も言おうとしなかった。

 

南雲にはある思いがあった。それはもしかしたら兄をかばっているのかもしれない。

 

兄が「暴力」を振ったとしたら、野球部が大会に出られなくなる。そう思って、とっさに弟が名乗り出たと考えた。

 

山住はその考えを聞いたとき、あの2人の兄弟関係はあまり良くないと評判があったと聞いたと答えた。

 

しかし相手側が弁護士を立てて訴えることになったので、日沖の弟を連れて誠心誠意込めて謝りに行った。

 

そして後日相手側から、訴えを取り下げることを承諾してもらうことができた。そして謹慎処分も無事に解けた。

 

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夏のはじめての大会

南雲が最初に目標とした「夏に一勝」相変わらず南雲は練習を見に行くことはなかった。

 

その代わりにかつての顧問だった横田が来ていた。南雲は妻からも相談を受けていた。

 

東京に勤めていたときの会社が、また復職してほしいと話をしてきていること。そして、南雲は妻に本当のことを打ち明ける時が来た。

 

教員免許を持っていないため、夏が終わったら教師を辞めること。それは衝撃的な事実だったが、

 

妻の美香は話を理解してくれた。そして子供たち2人を連れて、東京へ単身赴任に行くことになった。

 

南雲は三重に残り、義父の仕事を手伝うことになった。そんな話し合いがなされた後、

 

越山高校の夏の大会の相手が決まる発表があった。美香は「本当は気になってるんじゃないの?」と言って

 

南雲の気持ちを察してくれた。選手一人一人に向けて別れの手紙を書いていたが、南雲は会場へ走った。

 

キャプテンである日沖は5番を引いて帰ってきた。そして当日の書類について山住が南雲に渡してきた。

 

そこ南雲の名前はなかった。顧問は横田になっていた。南雲はコーチとしてベンチ入りする。

 

何か問題があった場合、山住も共犯になる覚悟で試合に臨むことになった。はじめてのまともな試合、

 

越山高校がまず1点を入れることができ、試合に活気が溢れてきた。しかしその様子を見る観客に賀門がいた。

 

南雲が恐れていたことが起きた。隣にいたのがかつての同級生だったのだ。彼は南雲が大学を卒業していないことを知っていた。

 

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