「八月は夜のパッティングセンターで」4話、いつも相手に気を遣ってばかりで本音が言えない女性
なんだか舞の様子がおかしい。バイト中にぼーっとしており、お客さんに声をかけられても気づかなかったり、調子の悪い機械の調整をしてもうまくいかない。
そして、過去の思い出か、マウンドに立つ舞がボールを投げようとしたとき、ボールが手から力が抜けるように落ちて行った。
そんなぼんやりした舞をよそに、荒々しくバッティングボックスに入っていく女性がいた。さっき舞が調整したが・・・
女性は小さく悲鳴をあげながら、体すれすれに飛んでくるボールを避けるのが精いっぱいだった。さっき舞が調整したのだが、うまくいっていなかったようだ。
そこで、違うボックスに変ってもらうも、やはり女性はボールを怖がり打つことができない。来た時はあんなに荒々しく来たのに。
女性のそばに行き、「打つの怖いですよね。わかります」と舞は声をかけた。女性は自分がいつも人から良く見られたい。ばかりで本音が言えない。
だから、同僚の彼が「鼻炎がひどいから残業代わって」と言われれば代わってしまうし、彼の部屋の洗面所にイヤリングや、料理をしないのに
「ローリエ」がキッチンにあっても、「あぁ、女ともだち」と言われればそれ以上聞くことができなかった。相手の機嫌が悪くなるなら、自分が我慢した方がまし。
そんな風に生きてきたから、目の前から彼が女性と腕を組んで歩いてきて、「お!こいつ俺の彼女。じゃ!そういうことで」と別れを告げられても何も言えなかった。
舞は女性のお人よしに、相槌を打ちつつも相手に遠慮しすぎていることを話していた。すると後ろに伊藤が来た。
気づくと彼女はピッチャーマウンドの上に立っていた。バッターは今彼。「早く投げろよ!!」とせかす彼だが、彼に球が投げられない。
そこで伊藤は「タイム」を取り、舞に「さっき体にボールが当たりそうで怖くて、打てなかったならそういうボールを投げろ」と言ってこい!!と伝えた。
しかし、彼女は彼にボールが本当にあったたら、痛いしかわいそうだし・・・。と結局何もできずベンチに帰ってきてしまった。
そこで登場したのが五十嵐投手だった。相手が誰であろうが恐れず球を投げる。彼はインコースの球を今彼に投げた。
ファールボールとなったが、次も次も勢いよく投げられた球は、彼に恐怖心を与えたのか、1球も打つことができなかった。
塁に出ていたのは、今まで彼女に残業を押し付けたり、宅配した時自分に責任はないと言い切ったバイト達だったが、今彼が三振したことでアウトとなった。
相手がどう出ようと、思い切ることが必要。時にそれが相手に思いっきりぶつかることになってもそれを恐れていてはいけない。
それが今回の伊藤の野球論だった。
彼女はその後、彼の家へ行き彼好みではない部屋用のフレグランスを、スマホに夢中な彼に投げつけた。
いつものように、彼は彼女が「ごめん」と引き下がると思い、強気に出てきたが、彼女はもう恐れることなく、彼を思いっきり振った。
まさか自分が振られると思っていなかった彼は、唖然としながらも、去っていく彼女を見るしかなかった。
やっと彼女が背負っていた余計な気遣いをおろすことができた。そして舞の元に「彼を振っちゃいました」と彼女からメールが来た。
少しうれしい舞だが、そのままスマホに保存されている野球チームの写真を見ていた
「八月はバッティングセンターで」は【AmazonPrimeVideo】にて1話から配信されています。
原案
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