「体感予報」7話、葉の動き、出会いの時、台風の日に。
葉はしばらく万との距離を取ることにした。それは瀬ケ崎がGPSを仕組んでいたからだ。
瀬ケ崎の家にお世話になっている限り、自分には自由がないと思っていた。そして、瀬ケ崎は葉の新しい仕事を
よく思っていないと思っていたからだった。しかし瀬ケ崎には瀬ケ崎の思いがそこには会ったのだ。
コンテンツ
葉の動き
葉は「GPS」を自分につけられていたことで、良い気持ちはしなかった。瀬ケ崎がやはり、自分のことを
どうしたいのかわからなかった。万さんの言うように「恋人同士」でもないのに、一緒に住んでいる。
万は「2人のラブストーリー」というが、葉には「自分たちがラブストーリー」のような生活をしているように思えなかった。
ただ瀬ケ崎のそばにいると、自分のやりたいことはできない気がしてきた。だからこの部屋を出ようか悩み始めたが
瀬ケ崎の考えていることは相変わらずわからない。いつものように、気象予報の配信を見ているが
その表情から瀬ケ崎の気持ちを読み取ることはできない。しかし、万さんと仕事を知られないように
葉は動く必要があると思っていた。そして、瀬ケ崎は帰宅したが、その間も瀬ケ崎は気が気でなかった。
この間のように葉が自分と違う人と一緒にいるのではないかと、気が気でなかったが帰宅すると、葉は誰かにメールをしていた。
出会いの時
葉には大学時代の瀬ケ崎は輝いて見えた。自分とは違う世界にいる人だと思っていた。
しかし、瀬ケ崎は自分の周りにいる人間はつまらない。と思っていた。適当な人間を見つけてはディスって、
自分の時間を無駄に使うだけで、退屈でたまらなかった。そんな時に葉との出会いの時が来た。
いつものように仲間たちは誰かをディスっていた。その人物が葉であり、葉からの視線はじっと見つめるでもなく、
強い視線でもなく、観られていることに気づいていたが、自分からアクションを起こすことはなかった。
しかし、いつも葉から見られていることを意識していた。ある時いつものスケッチを見てみたら、
「美大生」かと思うくらいに、とても素晴らしい絵を描いていた。その中に自分のスケッチがあった。
葉から見ると「自分はこんな風に見えている」んだと初めて知った。それから葉が仲間のために飲み物を買ってくることになったが
仲間といることはとても退屈で、適当な言い訳を作ってその場を離れ、葉を探しに行った。
そして、手伝うふりをして葉に近づいた。それ以上葉と距離を詰める気もしなかったが、ある日仲間と話していると、
突然葉が自分の腕をつかんで、仲間から引き離した。あまりにも突然のことでびっくりしたが、
葉は「あまりにも体調が悪そうだった」ということで、無理やり仲間から離してくれた。
確かに体調は良くなかった。それでも友達にばれないように隠していたつもりだった。でも葉はそれに気づいた。
そして、自宅まで初めて葉を連れてきた。そして、誰にも見せたことない姿を見せたことで、気が緩んだのか
帰ろうとする葉を引き留めてしまった。葉は飲み物と食べ物を買ってきてくれるというが、
思わず「レトルトは嫌だ」と言ってしまった。それから眠りについてしまった。しばらくして目が覚めると葉がいた。
台風の日に
眠っている自分を一生懸命スケッチしていた。そして目が覚めたのを知ると大量の飲み物を用意してくれた。
瀬ケ崎は「何でもいい」と言いながら、そこからスポーツドリンク1本取って飲んだ。すると鼻先に何か匂った。
レトルトが嫌だと言ったからか、葉はなぜか「カレー」を作ってくれた。しかもそれはとてもまずかった。
でもその「まずさ」も自分のために作ってくれたと思うといとおしく感じ、このまずさは自分だけが知っていればいいと思った。
そして、すべてを独り占めしたいと思った。それから葉への思いが強くなったが、葉にはその気持ちはいまだに届いていなかった。
自分だけのものにしたいのに、葉ははなれようとしている。そして部屋中を探しても葉はいなかった。
外は「台風」で暴風雨がすごいのに、葉はどこにもいなかった。すると玄関に濡れた洗濯物があった。
もしかして・・・と屋上へ行くと、「台風の予報が出ていたのに、取り込むのが遅くなった」と言いながら、
びしょ濡れで洗濯物を入れる葉がいた。瀬ケ崎は声をかけたが雨の音で聞こえない。でも自分の気持ちを伝えたい。
そこで、葉を抱き寄せて、「どこにも行くな」とキスをした。しかし、葉にはこの思いが届いたのだろうか・・・。
そして、2人は濡れた体を乾かしたが、やはり葉はどこか遠くへいってしまいそうだった。
だから、こんなことはしたくない。と思いながらも、洗面所にいる葉の手を縛ってしまった。
それは「自分だけの葉」になった瞬間でもあったが、葉にはどうしていいのかわからない時間となってしまった。
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