「婚姻届に判を捺しただけですが」5話、2枚の離婚届と不毛な恋
うまくいっていると思っていた、兄と美晴の夫婦生活。でも柊は箱根の旅行の時に、美晴の本心を知ってしまった。
自分の両親とは違う、暖かい家庭を作るための結婚。そのために兄を選んだ。恋愛の前に、理想を選んだ。
その事実に、驚くばかりの柊に再び驚く出来事が起きた。箱根から帰ってきたばかり、兄が離婚届を持って家にやってきた。
兄が持っていたのは、美晴が既に記入済みの離婚届だった。弁当の配達から帰ると、それを置いて美晴はいなくなっていた。
もしかして、弟の家に行ったかもしれないと思い、慌ててやってきたのだ。兄には心当たりがない。
最近美晴が疲れているから、箱根旅行に一緒に行ったのに、疲れていたからではなく、結婚生活に悩んでいたのではないだろうか?
夜遅かったが、柊はアルバムを片手に知り合いに電話をかけ、美晴がいきそうな場所を探していた。しかし結局見つけられなかった。
しかし翌日、仕事を終えて直帰しようとしたところ、不動産屋の前で物件を探している美晴に出会ってしまった。
逃げようとした美晴を、柊は捕まえて自宅に連れて帰ってきた。「自分の気持ちがわからなくなった」と言うのが離婚の原因だった。
理想の家庭を作るための結婚。柊が不毛の恋を貫くための偽装結婚。同じようなことをしている2人。しかし、美晴の気持ちを落ち込ませたのは、
「妊活」だった。理想の家庭を作るために、次に子供が欲しかった。しかし自然妊娠が難しい体だと分かった時、旭は美晴が
妊活を続けたいなら続けてもいいし、嫌ならやめてもいい。どちらでもいいと言ったのだ。美晴はいつでも自分よりも美晴を優先する旭に不満を持っていた。
自分たちの子供について、ちゃんと話し合いたかったのに、2人でその話に向き合うことをしなかった。美晴はそれができなかったので、自分の気持ちがわからなくなってしまった。
柊はとりあえず新しい住まいが見つかるまで、ここに住めばいいと提案した。一応明葉とは夫婦と言う設定なので、
柊の部屋で明葉は寝て、明葉の仕事部屋と言って、その部屋を美晴に貸すことになった。美晴の気持ちを尊重して、今日のところは兄に何も言わないことにした。
柊の実家に泊まったときには、布団が並べて敷いてあり、頭を上下逆にすることで、何とか一晩乗り切ったが、
今回は、どちらが床で寝るかと言う話になり、結局2人でベッドで眠ることになった。しかし柊は同じベッドで寝ることに少し喜んだように見えた。
でもお互い眠れず、柊は「気持ちがわからなくなったと言う事は、兄のことが好きでは無いのではないでしょうか」と質問をしてきた。
明葉は考え込んでしまった。美晴が旭のことを好きではないならば、柊にもチャンスが巡ってきたと言うことではないだろうか。
そうなると、自分の中に芽生え始めた柊への恋心が報われない。そんなことを考えながら迎えた朝は、3人でとても気まずかった。
明葉は早めに家を出て、動物病院のお兄ちゃんを誘って、朝ごはんを一緒に食べることにした。唯一相談できる相手かもしれない。
美晴は本当に離婚する決意をしたらしい。幼なじみとして幼い頃から知っているので、旭も柊も美晴の決意の硬さは知っていた。
しかし、旭は最近の美晴について、自分のことを避け始めていることに気づいていたのだ。それでも見て見ないふりをしていた。
旭は離婚の原因に心当たりがあることを、2人は初めて知った。美晴は何も言わずに家を出てきたのに、旭はかすかに気づいている。
美晴は明葉の部屋を使っているので、資料を取りに部屋に戻った時、美晴と話をした。彼女の両親は仲が良いとは言えなかった。
結局彼女が中学校の時に、私が他に女を作って離婚する形になってしまった。寡黙な父で、多くを語らない人だった。
だからこそ、自分は理想の家庭を作りたいと思い、旭と結婚した。明葉はその話を聞いて、本当は父と同じような柊を美晴は心のどこかで求めているのではないかと感じていた。
そうなると、2人は両想いになってしまう。借金をした上での偽装結婚。早く借金を返して別れたかった。でも今はもう別れたくない。
洗面所に隠した、いつでも提出できるように記入してある、明葉たちの離婚届を出してきて、明葉は自分の思いが柊にあることに改めて気づいて1人泣いていた。
しかし不思議なことに、柊は美晴の離婚を心から望んではいなかったのかもしれない。兄に話をしに行き、「美晴が他の男の横で笑っていても良いのか?」と尋ねた。
顔も性格もまるで反対だが、2人の兄弟は美晴の「笑顔」が1番好きだと言う事は共通の思いだった。
そのために柊は、偽装結婚してまで、美晴の笑顔を見ていたいと思っていた。でもいざ離婚となると、その思いは崩れてしまう。
しかし、旭も美晴が笑顔になればいいと思っていた。そのためなら離婚してもいいと思っていた。だから柊に言われて気持ちが大きく揺らいだ。
兄と話して帰ってきたから、ソファーに座っていた柊。明葉が近くに行くと、倒れ込むように膝に寄りかかってきた。
かなりの高熱を出していた。急いでベッドに寝かせて、看病する明葉は病院に連れて行こうとするが、柊は美晴の結婚式の前にもそうだったと話した。
強いストレスを感じたときに、このような高熱を出すらしい。とりあえず薬を買いに外に出ると、入れ替わりに不動産屋に行っていた美晴が帰ってきた。
柊の体調を気遣って、ご飯を作っていると、柊に母から連絡が入った。旭が火事に遭った。と。急いで病院に駆けつける2人。
でものんきにお弁当食べている旭。美晴は思いっきりビンタした。「こっちがどれだけ心配したかと思ってんのよ!」と言って泣き出した。
近くの家で火事があり、中に猫が取り残されており、その猫を助けようとして、火事の中に入っていった。
自分の命よりも、猫の命を助けることを優先した。いつでも旭は自分の事は後回し。美晴はそれが嫌だったと初めて口にすることができた。
やっと2人は本心で話すことができた。そして美晴は旭の元に帰ることになった。柊はそれでよかった。明葉も安心したが、
よくよく考えれば、これはただ元の状態に戻っただけで、柊の中に美晴が居続けることに変わりがないことに、ショックを受けていた。
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