TBSドラマ「病室で念仏を唱えないでください」少年時代の罪悪感から解放された松本

松本がなぜ、僧侶であり、救急救命センターの医師であるか・・・。

それは小学校時代に話しはさかのぼる。

いつも一緒に遊んでいた宮寺はじめを、松本が釣りに誘った。

しかし、はじめは足を滑らせ川に転落し、溺れてしまった。しかし松本は泳げなかった。

そう、目の前で溺れる友達を救うことができなかった。そのことがきっかけとなり今の松本がある。

 

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友人への罪滅ぼし

 

真面目で実直な松本は、友人を目の前にしながら救えなかった「罪悪感」をずっと抱えていた。

自分さえ、泳げていれば救えたはずだ。

と、水泳をはじめ、国内の大会で優勝するまでに上り詰めた。

しかし、罪を償う気持ちは消えず、「仏門」に入る。そして僧侶となるが

そのうち「人の命を救う現場」にこそ、自分の居場所があるのではないか。

と、医師になり、自ら志願して救命救急センターの医師となった。

医療の合間には、院内に設けられた「説法部屋」でブッダの教えを説く日々。

そして、急患が入れば医師に早変わり・・・。家に帰る暇も寝る暇も、食事をする暇も惜しんで

「命を救うこと」に情熱を傾けてきた。

 

しかし、息子を亡くした「宮寺家」との交流は終わっていなかった。

はじめが亡くなってからずっと、自分の父のように宮寺憲次をしたい、初めの妹あやを自分の妹のようにかわいがった。

そして、憲次が果たせなかった「息子と酒を酌み交わす」約束も果たした。

しかし、憲次は気づいていた。松本がずっとお酒の振りをしてウーロン茶を飲んでいたことを。

立派な医師になったと喜ぶ憲次。だが、打ち明けられない秘密があった。

 

憲次の肺がん

 

松本は時間があれば、宮寺家を頻繁に訪れていた。

そこで気になっていたのは憲次の体調だった。

時折せき込むことが多くなってきていることに気付いていた。

やっと、松本に打ち明けたのは「肺がんのステージ4」だった。

すでに転移があり、腫瘍もあちこちにあるのでオペは難しいとのことだった。

そのため、憲次は静かに「死」を待つことにしていた。そうすればまたはじめに会える。

 

しかし、松本はそれは本心ではない。とおじさんを説き伏せた。

もっとあがいてください。生きたいとあがいてください。

松本は、オペは無理でも、将来誰かの為になる「治験」に参加することを勧めた。

憲次もただ、死ぬだけよりも最後に誰かの為になるなら。その方がうれしい。

と、「新薬の治験」に参加することになった。

しかし、憲次にはまだやりたいことがあった。「照くんと釣りに行く」

松本も喜んで承諾した。そして担当医の承諾を得て外出し、釣り堀へ行く2人。

 

 

釣り堀で語る本音

はじめは、本当は釣りなんて嫌いだった。魚すら触れなかった。

しかし、釣りが好きで教えたのが憲次だった。

そして、2人で釣りに行くのが楽しくて、泳げないのにあの日釣りに誘ったのは松本だった。

自分が息子に釣りの楽しさを教えていなければ

自分があの日、釣りに行こうと誘わなければ

 

釣り堀で隣同士並びながら、あの日の「後悔」だけがこみ上げてきた。

松本はやっと「泣く」ことができた。大好きだった親友を自分のせいで死なせてしまった後悔。

それは消えることなく松本の心に残り続けていた。それがこうしてはじめの父親に本心を口にしたことで心から涙があふれてきた。

憲次はもっと早く、照くんとこうして釣りに来るべきだった。

と、つぶやくのだった。そうすれば友人を救えなかった「罪悪感」を少しでも軽くしてあげることができた。

松本が必死で水泳や、仏門、医師免許を取得するまで頑張ることもなかったかもしれない。

釣り堀で2人してはじめを思い出し、涙した日はきっとお互いに最高の一日になったのだろう。

憲次の体調も良いので、入院の治験から自宅通院での治験に切り替えることになったのだが・・・。

 

 

 

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