「雪女と蟹を食う」テレビで蟹を見て、食べてから死のうと思った北。謎の女性に翻弄される。
仮名北は、通勤電車で女子高生に痴漢の冤罪をかけられ、職も婚約者も失い、生きる希望を失った。
「次はちゃんとやるから…」と自分に言い聞かせながら、天井からかけたロープを見てつぶやく。
そしていざロープに頭を入れると、なぜか床についている足を、上にあげることができなかった。
コンテンツ
テレビで見てしまった蟹
北は食事してから死のうと思い、カップラーメンを食べながらテレビを見ていた。すると北海道からの中継で、
リポーターがおいしそうにカニを食べている姿が映った。それを見たとき北は「蟹を食べたことがない」
ならば蟹を食べてから死のうと思い、せっかくなら北海道まで行って食べたいと思い、お金の計算をしてみた。
しかしどう安く見積もっても、残金が5000円しかなくなる。それでは豪華な食事はできない。
図書館で様々なルートを調べてみたが、やはり5000円では物足りない。そんな時図書館で白い服を着た女性とぶつかった。
なんとなく気になり、女性の後をつけてきてしまった。女性の家には高級な車が止まっていた。
おそらく彼女がしている指輪も高価なものだろう。どうせ死ぬのだから、強盗をしても良いだろう。そんなふうに思っていた。
そして女性が玄関のドアを閉めるタイミングを見て、女性に声をかけ、「先ほど図書館でぶつかったときに落としましたよ。」
女性が手を出すと、北も何かを持っているふりして手を差し出した。そして女性をつかみ指輪を渡すように脅した。
しかし女性は、「この指輪はお譲りできません。他のものならば何とかなります」と指輪だけは渡さなかった。
原作Gino0808
「雪女と蟹を食う」
雪女と蟹を食う(1)【電子書籍】[ Gino0808 ] | ||||
|
主題歌
ジャニーズWEST
「星の雨」
※多数バージョン販売
ヒグチアイ
「悪い女」
お金を狙うつもりが…
北はそれならばと、現金を渡すように要求した。それと女性は動じることなく「500万円ほどなら金庫にあります」
と、北に部屋に上がるように促した。するとなぜか現金を渡すわけでもなく、コーヒーを淹れて一緒に飲んだ。
そして2階へ連れて行ってくれた。北はそこに金庫があると思っていた。しかし連れてこられたのは寝室だった。
このどこかに金庫があると思ういい、見渡してみたら女性が服を脱ぎ始めた。女性は「約束をちゃんと果たしますから」と言った。
北はどうせ死ぬのだから関係ない。そう思い女性の誘いに乗ることにした。そして今度こそお金を持ってくると思ったら、
何をするのかと聞いてきた。そこで死のうと思うが、最期に北海道へ蟹を食べにいきたい。
と告げると、「では私も一緒に参ります」と言って赤い車に、北を乗せて走り出した。
彼女の名前はあやめ。北は本名ではなかった。北海道へ行くためその頭の文字をとって、吉田と呼んでもらうことにした。
車は主人のものらしいが、いないときには彼女が自由に使ってもいいと言う。そして夫の職業は小説家だと言う。
あやめは万が一のことを考えて、500万円一気に下ろすのではなく、少しずつ下ろしながら北海道に向かうことにした。
あやめのペースに戸惑う北
あやめは、自分の命が危険かもしれないのに、何にも動揺していない様子だった。
そして栃木県に入った頃、2人ともお腹がすいたためラーメンを食べようかとあやめが提案すると、
北は一刻も早く北海道に着いて、さっさと蟹を食べて死にたいと思っていたが、体は正直でお腹が鳴ってしまった。
そこで栃木県で有名な佐野ラーメンを食べることにした。北にとってカップラーメンを食べていた感覚とは違い
人生の中で食べたラーメンで1番おいしいラーメンだった。そんな喜ぶ姿を見てあやめはとてもうれしそうだった。
しかし運転も疲れたのか、2人はホテルに入った。そして当たり前のように体を重ねた。
そのまま北は眠ってしまったが、あやめは北が眠っていることを確認して、鍵付きのノートを取り出した。
そして最初のページに「雪女と蟹を食う」とタイトルを書いた。もしかして小説家なのは彼女なのかもしれない。
そしてこれから起こり得る、北との道中について、小説にしていくのではないだろうか?
コメントを残す コメントをキャンセル