日本テレビドラマ柴咲コウ主演「35歳の少女」望美が目覚めた本当の理由とは?

時岡家では母多恵が突然この世を去った。しかし、遺影にする写真がなかった。それほど2 5年間、自分の写真を撮る位の時間がなかった。

一方、結人の家でも寝たきりになっていた父が他界した。早く死んでほしいと願っていた母だったが、本当はもっと愛されたかったんだとわかった。

それぞれが家族を失い、新しい何かを見つける中、望美の父親進次はやっと3人の食卓を実現することができた。

 

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動き出したそれぞれの時間

望美が眠っている間、本当は動いているように見えた「25年」と言う時間は、本当は周りの人にとっては止まっていた時間なのかもしれない。

ただ、時間だけが過ぎ、体や頭だけが大人になっていく。そして25年があっという間に過ぎた。

しかし、望美が目覚めたことにより、25年前の記憶を取り戻し、新しい1歩を踏み出す勇気をもらったような気がする。

 

もしも望美が目覚めなければ、結人は今も代行業として、いつも誰かになりすましてその日暮らしをしていたかもしれない。

そして妹の愛美は、いつまでも別れた彼を老津付け、ストーカーとして立派な犯罪者となっていたかもしれない。

そして父の進次は、いつまでも望美が元気だった頃の明るい家庭を引きずったまま、新しい家族と気まずい毎日を過ごしていたかもしれない。

しかし、25年ぶりに望美が目を覚ましたことにより、10歳の望美が素直に思うことを口にするようになった。

それはすべて、25年間生きていく上で、どうしても諦めなければいけないこと、抱え続けなければいけないこと。

そんなことを望美は、純粋な心で間違っているとか、あきらめないとか、素直に口にすることにより

周りの人々が変わり始めた。そしてそれぞれが、あきらめかけていた「夢」を思い出すようになった。

 

デザイナーになる夢

愛美はどこの会社を受けても、年齢的にもなかなか雇ってくれる会社が見つからなかった。

望美や結人が励ましても、すでに愛美は夢をあきらめ、結人がかつてそうであったように、代行業でその日暮らしをしていた。

そして自分をごまかすことで、何もかも忘れたいと思ったのかもしれない。でも突然母が亡くなり、甘えたいと言う気持ちがもう満たされることがなかった。

 

そしてその時初めて、今までお利口でいたのも、大人になってからいろいろ迷惑かけたのも、すべては母の愛情が欲しいからだった。

そうすれば、お利口だと褒めてくれたり、何かと心配してくれたりする。そんな些細なことが愛美は嬉しかった。

しかしもうそんなことも叶わなくなってしまった。家族はもう姉1人となった。父はいても他の家族と一緒に暮らしている。

でも皮肉なことに、母が亡くなったことにより、あれだけ姉が母の愛情を独占し、うらやましいと思っていたのに、

2人の絆がより深まることになった。そして望美が「デザイナー対象」のフライヤーを見つけ、まなみに勧めることになった。

 

あきらめかけた夢

愛美は愛する人を、他の女性にとられてしまい、さらに2人は結婚すると言う。そして自分は年齢を理由に雇ってもらうデザイン会社なんてなかった。

だからもう自分をダメなんだと、デザインをあきらめようとしていた。でも望美が持ってきたフライヤに挑戦してみることにした。

姉に「私はあなたのお姉ちゃんなんだから、たまにはお姉ちゃんの言うことを聞きなさい!」と叱責されたからだった。

危うく元恋人が破談し、会社も左遷されることになり自己都合で退職し、先輩と新しい会社を起こすので、手伝って欲しいと言われるところに流されるとこだった。

 

テーマは「家族」

愛美にとってはとても難しいことだった。25年間味わうことのなかった「家族」をどのようにデザインで表現するのか。

望美がいろいろと提案してくるが、どれも今の時代とはずれている。そしてデザインと言う観点からしても全く違うものになってしまう。

しかし愛美は、締め切りまでにデザインを仕上げることができた。でもそのデザインを誰にも見せる事はなかった。

そして受賞者への発表が行われる日、愛美の電話が鳴った。うかない顔をする望だったが、大賞を受賞したと言う連絡だったのに

全く実感が持てず、呆然としていたのだった。しかしその一方聞いた望美が素直に喜ぶ姿を見て、本当に自分がやったんだと実感できた。

あれだけ年齢を理由に断られ続けていたデザインに関わる仕事、思わぬ形でかなえることができた。

しかも愛美が描いた「家族」は姉の姿だった。1点をじっと見つめ、強い意志を持った望美の姿。

デッサン画のように、柔らかいタッチで描かれており、髪が風に揺れるようだった。

そして2人で、母に報告に行くことにした。その時に初めて望美は絵を目にした。

不思議なことに、母の墓石にトンボが止まった。まるで2人の姿をこれからも見守っているかのように。

 

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