「美しい彼」2話、2人だけの秘密と夏休み

平良は清居への気持ちが「恋」だと自覚していた。だからこそ夏休みまでの期間がとても短く、

 

フラスコにたまっていく、清居からのお釣りがもうしばらく増えないことが寂しかった。でも物事は不思議な方向へと動いた。

 

清居が平良が一人暮らしであることを利用して、夏休み中の勉強会は平良の家でやることを提案した。

憧れの彼が自分の家に

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予定通り同級生たちは、夏休みになると平良の家に押し掛けてきた。平良は清居がいるから嫌な気持ちではなかった。

 

そこで進路の話になると、大学へ進学する者や、就職を考える者たちがいた。でもみんなに一斉に清居は芸能界入りする。

 

と、口々に言い始めた。いとこが勝手に応募してしまったオーディションに、今第二次審査まで残っている清居。

 

その場にいる全員が、そのままグランプリを獲得し、彼は芸能界に入ると確信していた。そして宿題が進んでいない同級生は

 

平良にノートをうつさせてほしいとお願いしてきた。断る理由もなく部屋にノートを取りに行った。すると思いがけないことに清居が、部屋に来た。

 

そしてベッドに座った。何も言わない平良を見て、清居は服のままベッドに座ったことが気に入らないのか、潔癖症なのか質問してきた。

 

平良はどちらでもなく、ただ大好きな人が自分がいつも使っているベッドに座っている。その光景が信じられなかった。

 

清居はダンスのレッスンに通っていることを、まだ誰にも話してなかと平良に確認しに来たのだ。話す理由もないので「話してない」と言うと、

 

清居も安心したようだった。そして部屋のいたるところにある写真を見て、「カメラが好きなのか?」と尋ねてきた。

 

特に好きではなく「中学生の時に親が一眼レフを買ってくれたから」と素直に答えた。その答えを聞きながら、テーブルの上に貼られていたアヒル隊長の写真を見ていた。

 

そして2人が部屋に戻ると、クラスメイトの女子を呼び、庭で花火をすることになっていた。

 

 

花火を持つこともなかった。ただ花火をする清居の美しい姿に見とれていた。そんな時飲み物等が足りなくなり、買い出しに行くことになったが、

 

いつもパシリをしている平良は、何も言わず買い出し係になってしまった。しかし量が多いため、もう1人買い出しに行くことになった。

 

くじ引きをすると清居が、はずれくじを引いたが、誰もが彼がこの場からいなくなるのを嫌がった。平良は「俺1人で行ってくる」と言って買い出しに出かけた。

 

お店までどのくらいあるのか、とぼとぼと歩きながら景色を見ていると、後ろから自転車の音がした。振り向くと清居が一緒に来てくれていた。

 

本当は清居もあの場所は居心地が良くなかったんだ。だから気分転換に買い出しに付き合ってくれることになった。しばらく自転車を押して歩いていたが、

 

自転車の荷台に後ろ向きにまたがり、平良に早く自転車をこぐようにせかした。平良はとてもうれしかった。

 

好きな人を自転車の荷台に乗せて、同じ風を感じて走る。背中あわせになっているので表情はわからないが、きっといつもの「きもい」と言う顔になっていると想像していた。

 

すると前からパトロール中の警官が来て、2人乗りを注意され、学校に報告されてしまった。早速呼び出された2人は罰を受けることになった。

 

そうすれば「内申書」にはそれなりに書いてくれると言う。真面目にポールを磨き始めた平良と、一向に取り掛かろうとしない清居。

 

しまいには、掃除用のホースを使って、水浴びを始めた。そしてその水は平良にも向けられた。でも水を浴びている彼はより一層綺麗だった。

 

前に清居から「清居くんはきもいから清居と呼べ」と言われたいたが、なかなか呼び捨てにすることができなかった。

 

しかし、水浴びをする彼の姿がとても綺麗で、思わずカメラのシャッターを押してしまった。そのすぐ後水が向けられたが

 

「やめて清居」と、平良が言うと、「言えたじゃん」と清居に指摘された。ちょっと嬉しかった。距離がぐんと縮まったような気がした。

 

学校での清掃終えると、2人は水浸し。平良の家に2人で行き、着替えを借りて、制服を干した。すると花火がまだ残っていた。

 

花火に着火して、1人で花火を楽しむ清居。それを見つめるだけの平良。「やらないのか?」と尋ねる清居だが、

 

平良はただ美しい彼を見ていたかっただけ。でもこの夏休みが終わると、また時はあっという間に過ぎ、卒業になってしまうと心細くなってしまう。

 

 

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