それぞれの人生を歩んできた大人たちが「定時制高校」で学ぶ【ワンモア】1話
【高校】と言えば、昼間に通学するイメージですが、【定時制高校】はそれぞれに事情を抱え働きながら通えるよう
普通クラスが終わった後に学ぶ学校です。この学校に集う人々も社会人になってから「学びたい」という思いがあり
それぞれの思いや事情を抱えて、夕方の学校へ入ってくのです。
コンテンツ
大人の高校生
身元引受人となってくれたのは、材木店を経営する谷部だった。彼はそこで働きながら、後1年保護観察が解けるのを待っている。
しかし、職場の仲間から「中卒のバカ!!」といつもバカにされては、喧嘩を吹っかけていたが、
谷部に「もっと人とのかかわりを学べ」と言われ、何を言われてもぐっと我慢することを徐々に覚えていった。
そして、事務所の女性から「建築士」の資格取得を勧められるが、同僚から「こいつ、中卒だから無理です」
と、言われてしまい、あきらめるかと思ったが、辞書を片手に参考書を読む日々が始まった。
わからない漢字だらけの参考書を、辞書を片手に奮闘する火村。時には図書館で、時にはファミレスで。
しかし、ファミレスである事件が起きてしまった。火村の席の並びに座った老人が小学生のドリルをやっていたのだ。
それを見た、中央の席の高校生が「今更勉強しても、あと少しで死ぬのにな!!」と聞こえよがしにバカにし続けた。
ついに我慢していた火村はキレ、その中心人物だった男子生徒を殴り警察送りとなってしまった。
迎えに来てくれた谷部に、参考書を飲み物で汚したことを謝り、買って返す。というが、谷部は買わなてもいいかわりに
「定時制高校」へ通って高卒の資格を取るように勧めた。そして初めて学校へ行った日、同じクラスにあの老人の姿があった。
シングルファーザーの事情
空田は中学3年の時に、大病を患い長い闘病生活に入った。そのため普通なら高校へ進学するはずの時に
病院で治療に専念する日々が続いていた。しかし、懸命なリハビリもあり、成人する頃には働くことができるまでに回復。
そして、その後再会した幼馴染の女性と結婚した。しかし、彼女には10歳になる娘がいたので、
結婚と同時に親となった。これから幸せな生活がスタートするという時に、妻が心不全で突然この世を去った。
残された娘の父として、配送業者で働きながら、あの時通えなかった高校へ入学した。
そして、彼だけは「あの時きれなかった学生服」に、仕事着から着替えて登校している。
娘の世話も頑張っており、仕事から帰宅したら夕食をつくり、家族団欒を楽しむ一面もある。
引きこもりの高校生
風間は父が医師のかていにうまれそだったが、常に優秀な長男と比較され、高校生から引きこもりの生活を続けている。
家族が外出した隙に、部屋から箱を持って1階に降りては、食品がストックしてある棚から
適当に食べ物を部屋に持ち帰り、ネットゲーム三昧の日々を送っていた。
しかし、彼が唯一外出するときがある。それは父親が帰宅する前。
いつも兄と比較する父とは顔を合わせたくない思いから、彼は「定時制高校」で時間を潰している。
出かける時は部屋に南京錠をかけ、誰も入れないようにしているので、家族の誰もが彼の部屋の中を知らない。
そして、彼自身ネットの世界で過ごすことが多いので、学校でもコミュニケーションをとることはない。
そんな彼らが、火村が入学したことでどのように変化していくのだろうか。
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