「美しい彼」3話、あっという間に崩れ去るピラミッド

「ピラミッド」それは平良にとって、学校の中でのカースト制度のようなもの。いつも自分はその底辺をさまよっている。

 

しかしある日突然現れた清居は、そのピラミッドの頂点に立つキングにふさわしかった。一瞬で恋してしまった。

 

いとこが勝手に応募したと言うオーディション。興味なさそうな清居。しかし、平良は知ってしまった清居の秘密を。

清居の影の努力

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ある日街中で清居を見つけた平良。気になり後を追いかけてしまった。そして吸い込まれるように建物に入っていった。

 

するとそこでは、一生懸命ダンスと練習をしている清居がいた。興味ないと言っておきながら、オーディションに向けて努力をしていたのだ。

 

「誰にも言うなよ」と口止めされたが、もちろん誰にも言うつもりはなかった。と言うよりも底辺にいる自分が誰かに言うわけがない。

 

オーディションの最終選考まで残った清居。夏休みにオーディションはあった。いつも清居の取り巻きをしている連中と、女子が応援のためにお揃いのTシャツを用意し、

 

お揃いのうちわを作り、当日応援に駆けつけた。しかし残念ながら清居はグランプリを取ることができなかった。待っていたみんなに向かって「挨拶があるから」

 

と、みんなと違うほうに歩き出した。平良は気になり追いかけていった。そこには今まで見たことがない彼の姿があった。

 

壁に向かってパンチをし、全身で悔しさを表現する彼の姿がそこにはあった。興味なさそうなふりをして、何の努力をしてないふりをして、

 

清居は本当はこのオーディションにかけていたことを、平良は私っているから、その姿に声をかけることができなかった。

 

 

本当は幼い頃から「テレビの中の人になりたいと思っていた」手段は何でもよかった。アイドルでも頃にでも。それが今回のチャンスだった。

 

自分のものにできなかったのはとても悔しかった。その後みんなでいつものファミレスに行き、打ち上げとなった。

 

みんな清居に気を使い、嫌な雰囲気を作り出していた。とても居心地の悪い場所だった。清居は電話してくると言って外に出た。

 

やっぱり平良は後を追いかけてしまった。自分でできることは何もないが、「自分の中のキングは清居くんただ1人だから」

 

「きもい」と言われても、「僕は清居のことが本当に好きだから」と自分の思いを打ち明けると、「キスしたい?」と言って自分の片手を出してきた。

 

その手の甲に口づけをしようとすると、清居はからかうように手を引っ込めてしまった。しかしまたすぐに手を差し出してきた。

 

平良はその手を両手でやさしく包みこみ、跪いてそっとくちづけをした。「きもい」と言う言葉を残して立ち去っていったが、

 

平良には嬉しい出来事だった。しかし夏休みが明けるとクラスの中の雰囲気が変わっていた。いつも清居の取り巻きだった男子たちが、

 

オーディションに落ちたことで、清居を下に見るようになった。挙句に階段の上からトマトジュースを浴びせかけるいじめをしていた。

 

後ろにいた平良は、そのジュースを少しあびてしまったが、心の中は怒りで満たされた。静かに階段を上っていくと、犯人たちと揉み合いになったらしく、

 

その後担任に呼び出されて、注意を受けたようだった。清居は教室の机の上に顔を伏せていた。静かにその前に座った平良。

 

そっと触れようとすると、瞬間的に顔を上げたことに驚き、手を引っ込めた。「石鹸で洗ったから髪がゴワゴワする。最悪」

 

と言うが、平良にはとてもきれいな髪に見えた。「触ってみればわかる」とわざと煽るような言葉を口にした。平良はそっと髪に触れた。

 

やはりキングはどんな時でも美しい。石鹸で洗った髪でも、とても綺麗で美しい。それからなんとなく2人でいる時間が増えた。

 

何を話すわけでもなく、一緒に自転車に乗ったり、平良の家にきたり。そして今までは嫌がっていた写真を撮らせてくれるようになった。

 

平良は美しいと思う瞬間を、何枚もの写真に収めた。そしてそのまま冬がやってきて、あっという間に春が来た。

 

在学中にモデルデビューした。すると一旦崩れたピラミッドの頂点は、再びキングが座ることになった。でも平良は2人の時間が少なくなってしまって寂しかったが

 

清居の夢が叶ったことが嬉しかった。それでも待ってはくれない卒業式。当日みんなに囲まれる清居。

 

しかしふとその場からいなくなった清居を、平良はまた追いかけて行った。校舎の角を曲がったはず。しかし曲がるとすぐ清居がいた。

 

平良が後をついてくるのをわかっていて、そこで待ち伏せをしていた。2人だけの時間。もうやってこない2人だけの時間。

 

何度も「きもい」と言われながらも、そばにいる時間は幸せだった。でも今日でそれが最後になる。突然清居が近づき

 

平良の頬を思い切り両手で、挟むとまさかのキスをしてきた。「またな」と言って去っていった。

 

清居とは別々の道に進んだ。平良は大学生になっていた。しかし清居への思いは消えないでいた。穏やかな大学生活。

 

しかし、突然清居が現れて、実った果実をもぎ取ってしまう日がやってきた。

 

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