原作「ウロボロス-警察ヲ哉クハ我二アリ-」ネタバレ
「まほろば」それは【児童養護施設】だが、ある雨の日神崎イクオの目の前で「寮母:柏葉結子」が銃殺された。
なぜ彼女は殺されなければいけなかったのか?そしてその事件はなぜどこも報じることがなかったのか?
2人の龍が記憶に残る【金時計】の男に復讐を誓い、警察内部から、裏社会からのし上がってゆく。
コンテンツ
ウロボロス、2人の龍の誕生!
段野竜哉、彼は結子先生が射殺される現場を1番近くで見ていた。その時、結子先生に銃を向けた男の左腕に
【金時計】を見た。それは警察でもほんの一握りの、上層部の人間に与えられる名誉ある腕時計。
しかし、なぜ警察が結子先生を殺害し、それは「殺人事件」として、報道されることがなかったのか?
成長した段野は【復讐】を誓った。金時計の男を探し出し、真相を知る!しかし、それには協力者が必要だった。
結子先生の命日には、お墓参りを欠かさない人物がもう1人いた。龍崎イクオ。彼こそ相棒に相応しい。
竜哉より、遅く施設にきたが、いつも竜哉の後ろをついて回り、すぐ泣く泣き虫だったが、彼の目の前で先生は殺害されたのだ。
あの時現場にいたのは、竜哉とイクオの2人だけ。つまり金時計の目撃者同士、そして結子先生を今でも慕う人物。
竜哉はイクオに話を持ちかけた。イクオは警察内部に入り、上を目指し【金時計】の男に近づくこと。
そして竜哉は、裏社会「ヤクザ」としての仕上がり、警察内部とヤクザの癒着から【金時計】の男を探り出す。
イクオはノンキャリアとして、二課に配属された。しかし、その相棒となる人物がのちに大きく関わることになる。
ウロボロスに隠された秘密
イクオは幼いながらも、あの日遺品の中からこっそり「ウロボロス」を持ち出していた。
2匹の龍が互いの尾を噛み合い、八の字のように交わるネックレス。それはアクセサリー作りが得意だった結子先生が作ったものだった。
イクオはひょうひょうとした性格で、天然パーマ頭で、いつも寝ぼけたような人物だが、犯人の検挙率はずば抜けていた。
それは「とばしの携帯」からの情報もあった。「とばしの携帯」とは、常にあるコインロッカーに忍ばせてあり
竜哉とイクオが唯一「会話」をする携帯。そこから裏社会の犯罪を掴み、イクオが検挙する。
そしてイクオには竜哉にも理解できない、秘めた力があった。あの日の出来事を思い出すようなことに遭遇すると、
丸腰で犯人を半殺しにするような、異様な力。しかし、我に返るとイクオには記憶がなかった。
しかも、当時の事を思い出そうとすると、気を失うほどの頭痛に襲われ、身動きが取れなくなってしまう。
しかし、その度に失った記憶の断片が甦り、真実が少しずつ明らかになっていくが、肝心の犯人の顔は思い出せない。
イクオの相棒は日比野美月。実は父親は警視庁の上層部にいる。エリート組の刑事だが、仕事ばかりで家庭を顧みず
母の死に際まで「仕事」をしていた父に恨みがあり、何がそこまで父を取り憑かせるのか、知りたい気持ちで刑事となった。
しかし、彼女の父もまた「金時計」を持つ男。探るうちにある年に入庁した刑事で、出世した者はみな持っている腕時計だった。
その中から本物を探り出す。美月は父のコネを嫌い、実力だけでのし上がるつもりでいたが、イクオとコンビを組むことで
イクオの二面性と危うさに気づいていく。そして、唯一イクオが心を許す存在となっていく。
イクオがしばらく仕事を休んだ日、心配になり、住所を頼りに住まいを訪ねるが、ベッドとサイドボードのみの無機質な部屋。
たまたま飲み物を買いに出たイクオが、鍵をかけ忘れたため、美月は部屋に入り「ウロボロス」を手にした。
しかし、そこにイクオが戻ってきた事に驚き、戻したはずの「ウロボロス」が美月のカバンの中に…。しかし、これが新たな殺人事件を引き起こす。
竜哉がたどり着いた結子の謎
警察の上層部、特に公安については以前から、ヤクザとの癒着がうわさされていた。そのため竜哉はインテリヤクザとしての仕上がり
様々な癒着の証拠を掴んだ。そして竜哉はある場所にたどり着いた。そこは警察の天下り会社だが、
登記簿登録だけのペーパーカンパニー。しかし、その会社がある場所は「まほろば」がかつて存在した土地。
やはり、まほろばと警察の深い関係が疑われる中、建物内部を調べると、1人の男性がいたが、後から来た2人組に射殺された。
竜哉は書類のやまから、とっさに一枚の写真を持って逃げたが、2人組は全ての書類を持ち去った。
まほろばの場所にあるペーパーカンパニー。そして持ち去られた書類の山。竜哉は2人組が来る前に書類を見た。
まほろばにいた、子供たちの情報が記載されていた。なぜ?とっさに持ち出した写真を見て愕然とする。結子先生は警察官だった…。
そして公安が「ウロボロス」を探している事を知るが、イクオは失くしてしまい、在処はわからなかった。それを察知した美月は、
鑑識の同僚に「ウロボロス」の解析をお願いするが、「直接会って話す」と約束をしたまま、彼女は現れなかった。公安により消されたのだ。
「ウロボロス」には結子が仕組んだ【マイクロチップ】が埋め込まれており、公安はそれが公になるまえに、鑑識の女性を殺害し、事件を隠蔽した。
時を同じくして、竜哉たちの前に現れた雑誌記者がいた。那智。彼もまた「まほろば」の孤児だったが、
結子先生殺害の前に、妹の日菜子だけが「いい施設が見つかった」と連れていかれ、そして、殺害の日彼は家の中から現場を見ていた。
彼が唯一覚えているのは、結子先生がパソコンで子供たちの情報管理をしていたこと。そしてそのパスワードも手の動きから覚えていた。
実は鑑識の女性は、「ウロボロス」にマイクロチップが埋め込まれていることを発見し、この解析は古いソフトが必要だと話していたことがわかっている。
しかし、「ウロボロス」を那智に渡すと、いともたやすく中の情報を閲覧することができた。すべて孤児院にいた子供たちの体の特徴や健康状態など・・・。
この詳細に記された情報をどうして、公安が欲しがっているのか・・・!?那智の独自の取材で、当時公安に雇われた医者がいた。その医者には「心臓移植」を必要とする子供がいた。
そして、我が子への心臓移植を終えると、良心の呵責から自殺していた。つまりその移植は違法であり、「生きた子供」から移植していたのだ。
つまり「まほろば」は孤児を預かる表向きの施設であり、実は当時違法とされていた、子供から子供への臓器移植を斡旋する施設だった。そのため、イクオたちの記憶の中にも
「次のいい施設が見つかった」といなくなった子供たちが何人もいた。その移植で警察内部では大金を手にする者もいた。しかし、あの日、結子が【金時計】の男に歯向かった。
今まで従順な女性で、金時計の男の愛人として、施設管理を任されていたが、子供たちの命を粗末にしていることに気付き、結子先生はイクオの後ろにいた【金時計】の男に銃を向けた。
しかし、逆に彼女は命を絶つことになった。イクオが覚えていた、結子先生が「ごめんね」と涙を流しながら、自分に銃口を向けていたのは、自分ではなくその背後にいた人物だった。
金時計の男の正体
実は美月が嫌っていた父、國彦はあの時事件現場にいた。しかし真実を公にできる立場ではなかった。そのため自分が上へ登り詰めることで、イクオと美月を警務部監察課に異動させ、
「警察の膿を押しだす」と、イクオと美月に過去の不正疑惑について捜査させていた。そして、ようやく真実がわかりかけた時、田村小夏に殺害されてしまう。
小夏こそが日菜子の心臓を受け継いだ、あの不正を働いた医者の娘であり、公安にその身柄を守られ、警察官として内部を探っていたのだ。しかし、國彦は殺される前に
美月に電話をかけ、わざと通話状態にしていた。そのため、殺害される前に小夏が足を怪我した、ひきづる足音が聞こえたことや、銃弾をわざと高い位置から打つために使った椅子から、暗殺容疑で逮捕された。
後ろ盾を失ったイクオたちだたが、イクオに思いもよらないチャンスが巡って来た。警視庁のトップである「警視総監」の北川のSPに任命されたのだ。
そして、なぜか家に呼ばれたイクオは違和感に気付く。毎年行われる上層部のゴルフコンペ。北川の写真の立ち位置が年々中央から端の方へ追いやられ、
笑顔だが、貼り付けたような笑顔になっている。ということは警察内部での権力抗争に変化が起きているということだ。そんなことを考えていると、北川はなぜかイクオに真相を話し出した。
「結子は親から虐待を受け、私が救った。そして彼女のことを心から愛していたが、政略結婚により彼女と一緒には慣れなかった。しかし、愛人としての関係はつづいていた。そして、自分が与えた任務【まほろば】の寮母として、働いていたが飼いならした犬が牙をむいたんだ。そしてもうひとつの真実、当時懇意にしていたスナックのママがいた。しかし忽然と姿を消したが、北川の子供をみごもっていたのだ。その子供こそイクオだった。」
北川が【金時計】の男だと自ら名乗り出た上に、今後ある野球の始球式での警護をイクオに依頼してきたのだ。当日の警備は相当厳しいものだったが、竜哉もスタッフに紛れ込み会場にいた。
そして、始球式が始まる時どこかから「煙」が立ち上がり、観客が避難する騒ぎとなった。イクオはその中で北川の手下「赤鼻」から真相を聞いた。
始球式でイクオをSPとして、近くに置き公安が北川を狙撃する。その罪をイクオにかぶせるつもりだった。と。彼はイクオを殺すつもりで告白したが、その時イクオの底知れぬパワーで赤鼻は死亡した。
そして、北川は赤鼻が地下駐車場へ迎えに来ることを楽しみにしていたが、来たのは違う人間だった。公安の人間だが北川の悪事を知る人物。防弾仕様の車を竜哉とイクオで狙撃し
北川は逮捕された。すべてが終わり2人は姿を消したが、イクオには「北川暗殺の容疑」がかかったまま。美月は次に彼が現れる場所を特定し、そこで再会し説得したが
イクオは美月のポケットに「ウロボロス」をいれ、竜哉と断崖絶壁から飛び降りた。数日の捜査でも遺体は上がらず、亡くなったものとされたが、
数年後、新たな相棒と古巣の二課配属となった美月は、相棒に「新宿は久しぶりだから案内して」とお願いするが、実はこの相棒が悪事を働いていることに気付いていた。
そして、外からは新しいビルに見えるが、相棒は「廃屋」と言ったことで確信を持ち、中に入り、共犯者を探したが、美月一人では無理があった。
意識を失った美月が目を覚ますと、首にあった「ウロボロス」がなくなり、相棒とその共犯の男2人は縛り上げられていた。そう2匹の龍はどこかで生きている。
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