かゆいとか、アレルギーとか、美容とか。「生きるとか、死ぬとか、親父とか」3話

いきなり父から電話がかかって来た。「体中がかゆくてたまらない」という。

 

仕事の合間を縫って、病院の予約を取り、付き添うトキコだが医師は特に驚いた様子もなく

 

痒みを訴える父の腕や、背中を見ていたが、【乾燥肌】と言う結論

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昔から

この「痒み」は今に始まったことではない。以前から「何かを食べると痒くなる」

 

トキコもそうだ。親子そろって何かアレルギーがあるのかもしれない。今日は「アレルギー検査をしてもらう」つもりだったが

 

あっさりと「乾燥肌です」と言われ、アレルギー検査を申し出るも、医師が取り出した紙には、

 

1か月前の「アレルギー検査の結果」があり、特に異常はないことが記されていた。

 

 

父はアレルギー検査をしたことを忘れていたのだ。そして医師は70代でアレルギーになる人はまずいない。

 

と、断言され、帰るしかなかったが、いきなり父親が診察室に引き返して

 

鼻の付け根あたりを指さし「このシミとれますか?だんだん大きくなってきて」

 

「あぁ、それだったら保険適用でできますよ」と簡単に応対してくれたものの、何やら物騒な煙のようなものを吐く筒が運ばれた。

 

【液体窒素】でシミの部分を焼いて消す。ちょっとした痛みが伴うので「動かないように」と注意されたが

 

動きまくる父。「アレルギーかも」から、なぜ親父のシミ取りに付き合わなくてはいけないのか・・・。

 

トキコは内心イライラしていた。本当に自分勝手で奔放だ。おそらく、あの人に言われたのだろう。

 

 

いらだつトキコ


トキコはあまりにひょうひょうとこの年で「美容整形」をした父に腹が立ち

 

いつもなら「ランチ」をして別れるが、【先約があるから】と父を残して帰ってしまった。

 

そして、いつもの同級生たちに愚痴りながら、話して気持ちを落ち着かせる。

 

父の行動に賛成する意見もあった。「何かを変えたい」そんな気持ちの表れなのかもしれない。

 

 

たまたまラジオでも「夫の容姿に対する」相談が来ていた。頭髪は元々豊かではなかったが、

 

ある日突然「かつら」を被って帰宅した夫を【生理的に受け付けることができない】と言ったものだった。

 

確かに、今まで頭髪が薄かったのに、突然毛髪が大量にあったら、周りから「かつら」とばれるのに

 

なぜ夫はあえてそれをしたのか!?妻は元の頭に戻って欲しかった。

 

 

それに対しトキコは旦那さんは周りからの反応も含めて、思い切ってかつらにしたんだから

 

相当な決心でかつらを購入したんだと思う。と答えた。そして後日その相談者からメールが届いた。

 

あれから夫婦で話し合い、周囲の様々な反応を受けても、夫はかつらをやめない。という結論に至ったこと。

 

しかし、毎朝嬉しそうに鏡の前で髪型を整える姿を見て、ちょっとした夫の楽しみができてよかったのかな。

 

と、思うことにしたそうだ。トキコも父のことを思うと、シミをとることもちょっとした気持ちを変えたかっただけなのかもしれない。

 

原作について


生きるとか死ぬとか父親とか(新潮文庫)【電子書籍】[ ジェーン・スー ]

やっと原作を読み終えることができました。普段「原作」があっても読まないのですが、

 

70代の父と、40代の娘。シチュエーションは我が家と同じ。そこに母親とか、兄弟とか、ついてくるのだが

 

読みながら、すでに自分がぶち当たるべき【壁】にジェーン・ス―さんはぶち当たり葛藤し悩みその壁を壊した

 

親が老いていく現実を目の当たりにするのはつらい。いつも自分の前を誇らしげに歩いていた父が

 

今では我が家のテレビの前で動かない。まぁ性格に言えば四肢に障害があり自由に動けない。

 

そして、新し物好きだった父が、だんだんと家電すら疎くなり、ちょっとした【設定】も電話で呼び出される。

 

そんな現実と、この原作を重ね合わせていくと、ジェーン・ス―さんが乗り越えた【壁】は、私は壊せないだろう。

 

そんな時にまた、この原作を読み返してみようと思う。


 

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