叔母に会うとか、独身を貫くとか、「生きるとか、死ぬとか、親父とか」2話

珍しく父から、母の妹にあたる「叔母」に会いに行こうと誘いがあった。

 

「ばぁば」と呼ぶその人は華道の師範で、独身を貫きバリバリと働き、老後の資金も自分で用意し

 

自分から「ケアハウス」に入居した。果たして自分は同じ年になった時に同じようにできるだろうか。

 

 

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買い物とか・・・

叔母は2人の突然の訪問をとても喜んでくれた。差し入れにマンゴーを持ってきたことを伝えると嬉しそうな叔母。

 

しかし、しばらくするとテーブルの上の紙袋がきになり、「この袋、何か美味しいものでも差し入れてくれたの?」

 

と、言うので、父と目を合わせながら「さっき、マンゴー持ってきたよ。っていったじゃない」

 

と、言うと「最近物忘れがひどくて・・・。」と落ち込む叔母に、父がかぶせるように「俺だって・・・」

 

と、物忘れの話しを始めた。そして叔母に「何をしたい?」と聞くと、「外の空気を吸いたい」

 

というので、せっかくなのでおしゃれして、近くのスーパーへ行くことにした。

 

 

トキコは叔母にメイクを施してあげた。自分のメイク道具だけでなく、叔母のトレードマークの「オレンジの口紅」も忘れずに。

 

おしゃれをしてうれしそうな叔母を見つめる2人。トキコは父についてくるか確認したが、まぁ買い物なら行かない。

 

と、2人だけで買い物に出た。ケアハウスでは買えないお菓子をたくさん買ったが、

 

叔母は鮮魚売り場に目を止めた。「夕飯食べられなくなっちゃうよ」と、行こうとしたトキコだが

 

「いいか。食べちゃえ食べちゃえ!!好きな物を食べれる時に食べちゃえ!!」

 

と、マグロのお刺身をかごに入れた。そしてお会計でトキコは思い立ち、洗面器と入浴剤を購入した。

 

 

足湯とマニキュア

部屋に帰ると、満足そうにお刺身を食べる叔母。そんな姿を2人は嬉しそうに見ていた。

 

そして、トキコは叔母を足湯でマッサージし、叔母のトレードマークのオレンジのマニキュアを塗った。

 

あまりの気持ちよさに、父が話しているのに、叔母は眠り始めた。

 

2人が話していたのは戦後の話しだった。叔母は「赤が嫌い」だといった。それは、近所のお姉さんが夜になると

 

「赤い口紅」をして出かけていくからだ。家族に話すと「あんぱんしてるんだよ」って。

 

 

戦後、暮らしに困窮した女性たちは、売るものもなく「自分の体を売る」しかなかった。それがあんぱん。

 

そして、父は赤い紙がうれしかった。赤紙がはられた家にはファンファーレを鳴らし音楽隊が来る。

 

その後ろをついていくと「お菓子がもらえた」それがうれしくて、いつもファンファーレの後をついて行ったが

 

今になると、招集のかかった家の人の表情は誰もが暗かった。子供ながらに楽しいコト。と思っていたが、それは違った。

 

もしかしたら、母が「赤い花が嫌い」な理由もそんなところにあるのかもしれない。

 

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虫の知らせとか・・・

あれは「虫の知らせ」だったのだろうか。叔母に会った数日後、叔母は天国へ旅立った。

 

買い物の為に綺麗に着飾った写真が遺影となってしまった。しかし、叔母は最後まで自分の人生を生き抜いた。

 

そんな時に届いたトッキーへの相談は、

34歳の独身で趣味は貯金。そして3年ほど前にマンションを購入し、融資してもらったお金も順調に返済していますが

10年ぶりに彼ができ自分でも驚いています。しかし、彼にマンションを購入したことを打ち明けるべきか悩んでいます。

彼の様子だと、親の援助でこの広い部屋に住んでいるとおもっているようで、打ち明けることで彼との関係がぎくしゃくしそうで

 

彼女は老後の安定を考えて、マンションを自分で購入した。それをしれッと彼に行ってみたらいい。

それで気後れするような男なら、それまで。一度は自分の人生の為に覚悟を決めた、肝の据わったあなたなら大丈夫。

 

そしてもうひとつの質問は

この春から大学へ進学することになりましたが、自宅からは通えないので、祖父母の家から通うことになり、叔母の部屋を使うことになりました。

すでに亡くなっている独身だった叔母の部屋は当時のままで、どう断捨離について祖父母に言うべきか悩んでいます。

 

トキコはそれは「あなたにとってはゴミかもしれない」でも、親より早く亡くなった子供の思い出がそこにはある。

その一つ一つがご両親にとっては思い出。たとえあなたにはゴミに見えても大切な思い出なの。

踏み入れていい領域ではないと回答した。それはまるで独身を貫き亡くなった叔母を思っているようだった。

 

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